【レポート】世界の石炭火力発電所計画追跡『活況と不況 2026』発表


2026年5月21日、グローバル・エネルギー・モニター(Global Energy Monitor)らが世界の石炭火力発電所の稼働状況および計画状況をまとめた報告書『活況と不況-石炭 2026(原題:Boom and Bust Coal 2026)』を公開しました。今年で11年目を迎えるこの年次報告書からは、2025年の世界の石炭火力発電所の設備容量は3.5%増加したにもかかわらず、石炭火力による発電量は0.6%減少したという相反する結果明らかになりました。

2025年の石炭動向におけるポイントより抜粋

  • 2025年、石炭火力による発電量は減少したものの、設備容量は引き続き増加。世界の石炭火力設備容量は3.5%増加したが、発電量は0.6%減少している。石炭火力発電所の増設と実際の石炭使用量の乖離が拡大していることが改めて示された。
  • 中国とインドは新規石炭火力発電所の稼働開始が記録的に多かったものの、石炭火力による発電量は大幅に減少した。中国では、石炭火力設備容量が6%増加したが、発電量は1.2%減少。インドでは、設備容量が3.8%増加したが、発電量は2.9%減少した。両国とも、電力需要増加分のほとんど、あるいはすべてを風力発電と太陽光発電が賄ったため、設備容量の増加と発電量の減少という相反する結果が生じた。
  • 中国で、2025年に新規稼働あるいは再稼働が予定されていた石炭火力発電所プロジェクトは過去最高の161.7ギガワット(GW)に達した。中国では現在、500GWを超える石炭火力発電所が計画されている。これらが建設されれば、中国では第15次五か年計画期間(2026~2030年)以降も石炭火力の拡大が続くことになるが、中国政府はこの期間中に石炭消費量を削減すると公約している。
  • インドで、2025年に新規稼働あるいは再稼働が予定されていた石炭火力発電所プロジェクトは27.9GWに上る。現在、インドでは計107.3GWが着工前の計画段階にあり、さらに23.5GWが建設中となっている。インド政府は今後7年間で石炭火力の設備容量を100 GW新設するという目標を掲げているが、太陽光・風力発電の記録的な増加により、2025年には非化石電源の設備容量が総設備容量の半分を超えた。
  • 2025年に廃止が予定されていた石炭火力発電所のうち、世界全体では約7割、地域別ではEUで69%、米国で59%が廃止に至らなかった。EUは石炭火力の段階的廃止の公約を維持しているが、2022年から2023年にかけてのエネルギー危機を機に石炭火力発電所の廃止が見送られた。米国での廃止の遅れは、政府が老朽化した石炭火力の稼働維持を明確に命じたことに直接関係している。
  • 中国とインド以外の地域における石炭火力発電所の建設は、2025年の世界全体の建設のわずか5%であり、過去最低を記録。石炭火力発電の増加は世界的な傾向ではなく、ごく一部の国に牽引されている。このことは、2025年に計画中および建設中の新規の石炭火力発電所があったのがわずか32か国にまで減少していることからも明らかである(2024年は38か国、2014年には75か国)。

日本と韓国の動向

この報告書からは、今まで同じように石炭火力を重視してきた韓国と日本が、石炭の段階的廃止に向けて別の方向に歩み始めたことも明らかになっています。韓国は石炭火力の段階的廃止を公約しており、日本よりも強力な措置を講じています。現時点で開発中の石炭発電所はなく、2025年に0.5GWの石炭火力を廃止にしており、2015年以降の廃止累計は3.9GWとなりました。一方の日本は、G7合意において2030年代初頭までに排出削減対策を講じていない(unabated)石炭火力発電を段階的に廃止すると合意したものの、依然として石炭発電の廃止目標を立てていません。

以下の図は、日本と韓国にある石炭火力発電所の経年数を比べたものです。日本は多くの発電所が廃止を検討するべき標準的な時期を迎えているにもかかわらず、温室効果ガスの排出を削減するためのCCSやアンモニア混焼といった策を講じることで、石炭火力発電所を維持するための政策を推進しています。しかし、実際はCCSやアンモニア混焼の排出削減効果は不確実であり、ほかにも複数の問題が指摘されています。

OECD加盟国で最大かつ世界第5位の石炭火力設備容量を保有している日本と、段階的な廃止に向けて動き出している韓国との差が広がりそうです。

Global Energy Monitor
[プレスリリース] The world is using less coal, even as it builds more
[レポートダウンロードページ] Boom and Bust Coal 2026
[日韓向けプレスリリース日本語] 韓国と日本が石炭の段階的廃止への道筋で袂別(PDF
[日韓向けプレスリリース英語] Pathways to a coal phase out diverge in South Korea and Japan(PDF
[日本語版サマリー] 活況と不況ー石炭 2026 世界の石炭火力発電所の計画追跡(PDF

作成・発行:グローバル・エネルギー・モニター(Global Energy Monitor)ほか
発行:2026年5月21日

Global Energy Monitor以外の共同執筆団体: the Africa Just Transition Network (AJTN), ARAYARA International Institute, Bangladesh Working Group on Ecology and Development (BWGED), CEE Bankwatch Network, Beyond Fossil Fuels, Centre for Research on Energy and Clean Air (CREA), Chile Sustentable, Climate Action Network (CAN) Europe, Coastal Livelihood and Environmental Action Network (CLEAN), Dhoritri Rokhhay Amra (DHORA), E3G, The Institute of Lawyers for the Protection of the Environment (INSAPROMA), Kiko Network, POLEN Transiciones Justas, Policy Research Institute for Equitable Development (PRIED), Razom We Stand, Reclaim Finance, Solutions for Our Climate (SFOC), Trend Asia, and Waterkeepers Bangladesh (WKB).