電源開発株式会社(J-Power)は1981年より、長崎県西海市の松島火力発電所において、運転年数が40 年以上にもなる旧式で発電効率の低い石炭火力発電設備(50万kW×2基、計100万kW)を稼働させています。
2020年7月に当時の梶山経済産業大臣より、2030年までに「非効率石炭火力のフェードアウト」を進めるための検討を進めるよう省内に対して指示が出された際には、松島火力発電所も廃止対象となると考えられていました。
しかし、2021年4月にJ-Powerは「GENESIS松島計画」を発表し、松島火力発電所の2号機にガス化設備を付加し、バイオマスやアンモニアとの混焼やCCUS(二酸化炭素回収・有効利用・貯留)と組み合わせることで今後も使い続けていくという方針を示しました。2026年から新しい設備を用いた運転を開始することを予定しています。
この計画の問題点として、
①実施すれば将来にわたって多くのCO2を排出し、地球温暖化を加速させること、
②老朽化した発電所を延命することで脱石炭を遅らせること、
③大気汚染対策の設備が不十分で、健康影響が懸念されること、
④再生可能エネルギーの導入の足かせになること、
などが指摘されています。
この計画の環境影響評価(環境アセス)計画段階環境配慮書のパブリックコメントにおいては、850件を超える意見が寄せられました。引き続き、本事業および環境アセスの進捗に対して、高い関心を集め、本計画が中止となることが期待されます。

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