【レポート】米環境NGOが「化石燃料ファイナンス報告書2022」を発表


3月30日、米環境NGO レインフォレスト・アクション・ネットワーク(RAN)をはじめとするNGOが、『化石燃料ファイナンス報告書2022〜気候カオスをもたらす銀行業務〜(原題:Banking on Climate Chaos)』を発表しました。

本報告書は世界の主要民間銀行による化石燃料への融資・引受をまとめたものです。分析からは、邦銀4行を含む世界の60銀行が、パリ協定採択後の6年間で約4.6兆米ドルもの巨額資金を化石燃料に提供していたことが見てとれます。特に2021年には、パリ協定が採択された2016年よりも多額の7,420億ドルもの資金が提供されていました。

石炭火力発電部門に対する資金提供は、過去3年間は約440億ドルと横ばいになっています。とはいえ、石炭火力発電を今後10年で段階的に廃止していかなければならないことを踏まえると、許容できる数字ではありません。

本報告書では、注視すべき化石燃料部門上位企業への融資・引受も評価の対象としていますが、これを踏まえたパリ協定以降の化石燃料への投資・引受額ワースト12銀行の中には、MUFG(6位)とみずほフィナンシャルグループ(8位)が入っており、この2行は2020年から2021年に化石燃料への資金提供を増やした銀行としても注視されています。


*出典:Banking on Climate Chaos: Fossil Finance Report 2022
パリ協定以降のワースト12銀行(化石燃料への融資・引受額、2016年〜2021年合計、単位:B=十億ドル)

本報告書の調査対象となった60行の内44行は、2050年までに投融資ポートフォリオの温室効果ガス排出量ネットゼロを目指すことを約束していますし、邦銀4行(3メガバンク+三井住友トラスト・ホールディングス)も参加していますが、掲げている目標と実態が伴っていないことが浮き彫りとなっています。速やかな方針の抜本的転換が必要です。

 

作成・発行:Rainforest Action Network
発行:2022年3月30日