【レポート】日豪レポート『知らないでは済まされない:日本によるオーストラリア石炭の消費が及ぼす影響』発表


2021年6月4日、オーストラリアの市民グループであるオーストラリア研究所(Australia Institute)、オーストラリアで最大の自然保護団体オーストラリア・コンサベーション財団(Australia Conservation Foundation)と気候ネットワークは共同で、日本がどれほどオーストラリアの石炭に依存しているかに焦点を当てたレポート『知らないでは済まされない:日本によるオーストラリア産の石炭の消費が及ぼす影響』を発表しました。

本レポートには、オーストラリアにおける炭鉱事業と日本における石炭の消費によって生じるている問題を調査し、日本でオーストラリア産石炭を使用することによってもたらされる、気候、人々の健康、生態系および野生生物の生息地への影響を明らかにしています。

重要なポイント:

  • 日本が石炭火力発電所の燃料として使用している石炭の60%以上はオーストラリアからの輸入であり、その石炭を燃焼することで年間約 4 億 9,000 万トンの温室効果ガスが排出されている。
  • 日本はオーストラリアにとって最大の石炭輸出相手国であり、日本の石炭需要はオーストラリアの石炭輸出および炭鉱業において重要な位置を占めている。
  • オーストラリアにおける炭鉱の操業および事業の拡張は、オーストラリアの危機的な状況にある絶滅危惧種や、グレートバリアリーフ、森林 (コアラの生息地を含む)、河川などの生息環境に深刻な影響を及ぼしている。
  • オーストラリアのコミュニティ、特に先住民(ファースト ネーション)、農村社会や農地も、オーストラリアの石炭の採掘と輸出によって大きな影響を受けている。
  • 石炭貿易の影響は日本人の健康も脅かしている。オーストラリアから輸入した石炭を燃焼させることで日本の都市の大気の質は悪化し、日本では大気汚染が原因で毎年少なくとも6万人が早期死亡していると推定されている。
  • 日本企業は、オーストラリアで激しい論争となっている炭鉱を含む数々の炭鉱の権益を保有している。

 

また、本レポートはオーストラリアの石炭産業およびその反対運動についても調査を行い、経済やエネルギーシステムに大きな混乱を生じさせることなく、オーストラリアの石炭輸出を段階的に廃止できると指摘しています。日本の石炭消費がクリーンで安価な再生可能エネルギーに置き換わることで、2030年までに廃止できるとするのと同じことです。この段階的な廃止(フェーズアウト)を実現すれば、気候変動を防ぎ、オーストラリアの生物多様性と水資源を守り、さらに日本とオーストラリア両国における大気質と人々の健康を改善することができるのです。

※ 本レポートの発表に合わせてウェビナーを開催しました。そのときのプレゼン資料はこちらからご覧いただけます。

 

レポートのダウンロードはこちらから

『知らないでは済まされない:日本によるオーストラリア石炭の消費が及ぼす影響』(日本語PDF)
“Out of sight, out of mind: Impacts of Japanese use of Australian Coal”(英語PDF

作成・発行:
オーストラリア研究所(Australia Institute)、オーストラリア・コンサベーション財団(Australia Conservation Foundation)、
気候ネットワーク
発行:2021年6月4日