【ニュース】JERAの武豊火力発電所の火災事故、原因究明と住民説明は必須


2024年1月31日、JERAが運営する武豊火力発電所(愛知県武豊町)で木質バイオマス燃料を一時保管する設備が火元とみられる爆発事故が起きました。JERAは事故の説明を求める住民の要請を拒否しており、2月5日に火災事故に関する事故調査委員会を設置した後は沈黙したままです*。

*JERAは3月21日付けで「1月31日に発生した武豊火力発電所における火災事故の調査状況について」を公開。住民への説明会などは実施していません。

事故が起きた武豊火力発電所5号機は、出力約107万kW、木質ペレットを混焼する日本最大級の石炭発電所です。1月31日の午後3時11分ごろに木質ペレットを保管するバンカー付近から出火した火災はバンカーからボイラーへと続くベルトコンベヤー上に延焼が広がり、当日の午後8時4分に一度鎮火しました。しかし2月1日の午前2時40分に再び1度目の火災で損傷したベルトコンベヤー内の木質燃料の残り火によると見られる出火がベルトコンベヤー付近で発生し、約1時間後の午前3時34分に消し止められました。今回の事故では、燃料を燃やすボイラーの建屋壁面も爆発で損壊しています。尚、武豊火力発電所は、この火災を受け、1月31日の15時29分に運転を停止しました。

武豊火力発電所の概要

出力:107万kW(単機出力としては国内最大級)
方式:超々臨界圧(USC)
木質バイオマス(木質ペレット)混焼率:約17%(発熱量比)
年間使用量:木質ペレット約50万トン/石炭(混焼時)約240万トン
営業運転開始:2022年8月
年間想定発電量:約75億kWh

JERAは約240万トンの石炭に約50万トンの木質ペレットを混焼させることで、年間(石炭専焼時と比較して)約90万トンのCO2排出を削減できると説明していますが、約240万トンの石炭燃焼によるCO2排出量は膨大であり、年間設備利用率を80%とした場合、1基で約569万トンのCO2を排出すると推計されています。地球温暖化を防ぐための「1.5℃目標」を実現するには、温室効果ガスの排出を2050年までにゼロにする必要があるため、環境省は同発電所でのバイオマス混焼による一定の削減効果を認めつつ、武豊火力発電所の環境影響評価(EIA)の配慮書および準備書の段階で、同発電所のCO2排出量について環境大臣意見を発出していました。にも関わらず、岸田政権下のエネルギー政策に基づき、2022年8月5日、電力の安定供給への貢献が期待されるとの報道とともに、営業運転が開始されました。

火災事故以降は稼働を停止していますが、資源エネルギー庁によると電力の安定供給には何の影響もないようです。

木質バイオマスが原因と見られる火災事故

今回の爆発事故を受け、経済産業省はバイオマス燃料を使う発電所に対し、2月1日付けで設備の点検や対策を要請しており、JERAは武豊と同様の木質バイオマス燃料を使用している碧南火力発電所(愛知県碧南市)と常陸那珂火力発電所(茨城県那珂郡東海村)において緊急点検を行ったと発表していますが、今回ほどの規模の事故ではなかったものの、そもそも武豊火力発電所では過去に2件のボヤ騒ぎが起きています。また、JERAやJERA以外が運営するバイオマス利用の発電所では武豊の爆発事故ほどの規模の事故ではないものの、木質バイオマスが原因と見られる火災事故が、以下のようにこの数年で多数発生しています。

時期発電所名場所運営会社
2023年9月武豊火力発電所愛知県武豊町JERA
2023年9月米子バイオマス発電所鳥取県米子市中部電力
2023年5月米子バイオマス発電所鳥取県米子市中部電力
2023年3月舞鶴発電所京都府舞鶴関西電力
2023年1月袖ケ浦バイオマス発電所千葉県袖ケ浦市大阪ガス
2023年1月武豊火力発電所愛知県武豊町JERA
2023年1月下関バイオマス発電所山口県下関市九電ミライエナジーほか
2022年9月常陸那珂火力発電所茨城県東海村JERA
2022年9月武豊火力発電所愛知県武豊町JERA
2022年8月武豊火力発電所愛知県武豊町JERA
2022年2月CEPO半田バイオマス発電所愛知県半田市中部電力グループ
2020年10月ひびき灘石炭・バイオマス発電所北九州市響灘エネルギーパーク

JERAには、武豊火力発電所の火災事故原因究明とその説明、さらに稼働開始以降の木質バイオマス混焼によるライフサイクルCO2排出削減量の公表を求めます。

参考

2022/8/12【ニュース】大型石炭火力 武豊5号機の運転開始は何をもたらすのか(JBC News