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【ニュース】政府がエネルギー政策に関するパブコメを募集中!10月4日まで

2021.09.15

日本のエネルギー政策および気候変動対策の根幹ともなる、第六次エネルギー基本計画(案)、地球温暖化対策計画(案)、パリ協定に基づく成長戦略としての長期戦略(案)が政府によってまとめられ、9月3日からパブリック・コメントが始まりました。

パブリック・コメントとは政策に意見を出すチャンス

国の行政機関が重要な政令や省令等を定めようとする際には、パブリック・コメントと呼ばれる意見公募手続きを行うこととなっています。この手続きに則り、文案を公表し、広く意見を募集するものです。パブリック・コメントは規定の書式に記入することで、誰でも提出することができます。

今回公募が開始された3つの案は、日本の気候変動・エネルギー政策の方向性を定める上で極めて重要なものです。それぞれの概要と石炭に関する主要な問題点を示します。

◆エネルギー基本計画

エネルギー基本計画とは、国が定めるエネルギー政策の基本方針です。少なくとも3年ごとに見直すことになっています。石炭火力を2030年までにゼロにするという目標も、この計画で位置付けられる必要があります。。

エネルギー基本計画(案)における石炭に関する問題点

2030年の電源構成に、石炭火力を19%も残している。石炭火力は2030年までにフェーズアウト(段階的廃止)するとの方向を明確に示し、そのための具体的な策を検討すべき。
水素・アンモニア・CCUS(二酸化炭素回収固定利用技術)といったイノベーション技術を脱炭素技術と位置づけて石炭火力の継続(延命)している。しかし、これらの技術は、有効性、経済性や環境への影響が不確実で、実用化の目途が立っていない。これらの技術の実現を前提に石炭火力を継続(延命)させることは脱炭素社会への移行の足枷となる。
再生可能エネルギーの目標値(36-38%程度)が低い。再生可能エネルギーへの転換を促進するには、再エネの割合を大幅に増やし、電力システムや接続ルールなどの変更、調整が必要。

第六次エネルギー基本計画(案)に対する意見募集(リンク
締切:2021年10月4日

◆地球温暖化対策計画

地球温暖化対策計画とは、国レベルの温暖化対策を総合的かつ計画的に推進するにあたって、目標や具体施策、推進体制などをとりまとめた政府計画です。今回は5年ぶりの改訂であり、2020年10月に菅内閣が国際的に公表した「2030年度に2013年度比で46%減」「2050年カーボンニュートラル達成」に向けた部門ごとの削減目標が示されていますが、具体策は示されていません。

地球温暖化対策計画(案)における石炭に関する問題点

発電部門における脱炭素化を、産業界の自主的な取り組みと発電効率の向上などで対応するとしている。それでは不十分であり、カーボン・プライシング(炭素税)の導入といったエネルギーシフトを加速するための施策の導入強化が必要。
2050年ネットゼロ目標に整合する短期・中期の削減目標が定められていない。短期および中期の目標を明確に定めるとともに、地方自治体にも自主的な対策の策定を求めていく必要がある。
地方経済や産業の脱炭素化を後押しする「公正な移行(ジャスト・トランジション)」への支援策が盛り込まれていない。産業構造の転換には、ジャスト・トランジションへの支援が不可欠。

地球温暖化対策計画(案)に対する意見募集(リンク
締切:2021年10月5日

◆パリ協定に基づく成長戦略としての長期戦略

パリ協定に基づく成長戦略としての長期戦略とは、パリ協定締結国として日本が取り組む温室効果ガスの排出削減のための戦略を策定するものです。すべてのパリ協定締約国は、長期的な温室効果ガスの低排出型の発展のための戦略(長期低排出発展戦略)を作成し、国連に通達することとなっています。「2050年カーボンニュートラル」を表明して以降に見直しが進められてきた今回の長期戦略は、11月に開催予定の国連気候変動枠組条約第26回締約国会議(COP26)までに国連に提出されることとなります。

パリ協定に基づく成長戦略としての長期戦略(案)における石炭に関する問題点

明確な脱炭素社会に向けたシグナルとなっていない。脱炭素社会に向けて温室効果ガスの着実な削減を担保する政策処置として、カーボン・プライシングの導入を強化するなど、施策を示す必要がある。
水素・アンモニア・CCUSなどのイノベーション技術で火力発電の脱炭素化を図ろうとしている。不確実な技術の実現を前提とした化石燃料の利用継続を模索している時間はない。2050年カーボンニュートラルの目標を達成するためには、脱化石燃料への施策を早急に進めなければならない。

パリ協定に基づく成長戦略としての長期戦略(案)に対する意見募集(リンク
締切:2021年10月5日

これらの計画と戦略の内容は脱炭素社会に向けて十分な内容なのか⁈

残念ながら、政府の案は、気候危機を回避するために求められている化石燃料から再生可能エネルギーへのエネルギーシフトを推進していくには不十分なものです。石炭火力および化石燃料火力からのフェーズアウトを早急に実現するためには、今回の見直し・改訂において日本の政策を大きく変える必要があります。

パブリック・コメント(意見)を出そう!

環境団体などのキャンペーン「あと4年未来を変えるのは今」では、パブコメの提出を市民に呼びかけています。何をどのように書けばよいのか分らないという方は、気候ネットワークや環境団体が、それぞれの政府案に対しての論点をまとめたものを参考にしてみてください。

各意見募集のページに意見募集要領(提出先、意見様式)および計画/戦略案へのリンクが示されているので、それぞれの様式にしたがって、期日までに提出すれば完了です。
脱石炭を進めるため、脱炭素社会に向けた動きを加速させるために、ひとりでも多くの人が日本政府の目標、方針、進め方についての疑問や意見を提出することが大切なのです。

参考1

  • あと4年未来を変えるのは今「エネ計画に直接声をとどけよう」(リンク
  • 気候ネットワーク プレスリリース
    【プレスリリース】エネ基、長期戦略、温対計画のパブコメを書こう! 気候危機に対応する計画・戦略に抜本的に見直すべき(2021年9月8日)(リンク
  • WWF 2030年46%削減を確実に実行できる温暖化政策を導入せよ(2021年9月21日)(リンク
  • FoE Japan 「第6次エネルギー基本計画(案)にパブリックコメントを!」(リンク
  • 国際環境NGO グリーンピース・ジャパン 「【気候変動対策に関係あり】エネルギー基本計画案について政府があなたの意見を募集中」(リンク

 

参考2

パブリック・コメント制度について(リンク