【ニュース】OCCTO供給計画から見える火力依存継続


気候ネットワークは、2024年7月にレポート「OCCTO『供給計画取りまとめ』の推移から見る2030年への道筋―このままでは2030年目標の電源構成および削減目標の達成は不可能」を発表しました。

「供給計画取りまとめ」とは、電力広域的運用推進機関(OCCTO)が、全国の電気事業者の提出した今後10年間の発電所の開発や電力供給の計画を取りまとめたものです。Japan Beyond Coalでは毎年3月末に発行されるこの取りまとめの分析をニュースとして取り上げてきましたが、今回のレポートは、単年ごとではなく、2015年度から2024年度の約10年間分を分析し、電気事業者の計画がどのように変化してきたのかを調査し、まとめたものです。

本レポートでは、電源の設備容量、電力量、設備利用率、電源構成、電力需要の計画と実績の推移を追ったほか、10年後の火力からの温室効果ガスの排出量を予測を示しています。

この調査の結果、2033年度までの電量事業者の計画の推移をみるかぎり、今後の各電源の構成が大きく変化する見込みはなく、2030年度以降も火力が電源構成の6割を占めることが予測され、再生可能エネルギーの電源の増加はあるものの、導入スピードは加速していないことがわかりました。このまま火力の削減が進まなければ、2030年の日本の温室効果ガス排出量目標の達成は困難になることが予測されます。

この10年の間、気候変動をめぐる状況は大きく変わってきました。世界各地で自然災害はますます激甚化し、それに伴って国際的には火力発電の削減、再生可能エネルギーの主力化が進んでいます。今回のレポートでは、日本の電気事業者の計画が気候変動対策としてはまったく不十分であることが明らかになりました。2050年ネットゼロに向け、電気事業者が計画を適切に変更し、実質的な火力の削減が進むよう、制度や仕組みの変更が早急に必要です。

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気候ネットワーク「電力広域的運営推進機関(OCCTO)「供給計画の取りまとめ」の分析」(リンク