【レポート】活況と不況2022(原題Boom And Bust Coal 2022)発表


グローバルエナジーモニタ(GEM)らが毎年発行している、世界の石炭火力発電所の稼働状況および計画状況をまとめた報告書『活況と不況-石炭2022』が公開されました。

本報告書には、世界で2,400カ所の石炭火力発電所が運転中なのに加えて、189カ所以上の発電所が建設中、296カ所で建設計画が進んでいることが示されています。2021年には石炭火力を制限する動きが見られ、開発中の石炭火力発電所の設備容量に減少が見られましたが、それでもまだ世界の石炭火力発電を廃止にするには程遠い状況です。

  • 2020年には増加が見られた開発中の石炭火力発電容量の合計が、2021年には13%減少した。
  • 2015年のパリ協定の合意以降でみると、建設前段階の石炭火力発電所の発電容量は77%減少した。
  • 新規の石炭火力発電所の計画を検討している国は、2021年の41カ国から34カ国に減少したものの、運転中の石炭火力発電所の発電容量は2021年に18.2GW増加し、コロナ後の回復に伴い閉鎖は鈍化した。
  • 米国、オーストラリア、ポーランド、メキシコ、日本、トルコはOECD加盟国であるにも関わらず、新規の石炭火力発電所の計画を検討している。
  • 中国、韓国、日本が新規の国外石炭火力発電所への公的支援を中止することを約束したので、原則的には新しい石炭火力発電所を支援する国際的な公的資金は残されていないことになるが、この3カ国は石炭火力への支援を継続している。

2021年11月のCOP26で、石炭火力発電のフェーズダウン(段階的削減)が明記された「グラスゴー気候合意」が採択されたことはひとつの進展ですが、多くの国が明確な目標年を設定して石炭火力発電のフェーズアウト(段階的廃止)を進める中、日本はいまだにフェーズアウトさせる姿勢を示さず、フェーズダウンの道筋すら明確にしていません。

2030年までに石炭火力を廃止させるには、明確な目標設定の下、より迅速な変化が必要です。

本レポートに関するさらに詳細な数字についてはグローバルエナジーモニター(GEM)のGlobal Coal Plant Tracker データおよびSummary Tableをご覧ください。

本レポートのダウンロード

活況と不況-石炭 世界の石炭火力発電所の計画追跡(日本語PDF
Boom And Bust Coal 2022(英語PDF
Boom And Bust Coal 2022 (ダウンロードサイト

作成・発行:
グローバルエナジーモニタ(GEM)、エネルギー・グリーンエア研究センター(CREA)、E3G、シエラクラブ、SFOC、気候ネットワーク、CANヨーロッパ、森林と環境のための法的イニシアティブ、バングラデシュの団体による

発行:2022年4月26日