建設が進む神戸製鋼の石炭火力発電所3-4号機


神戸市灘区で建設が進む神戸製鋼の
石炭火力発電所3-4号機の様子を地元団体が撮影、公開

神戸製鋼は、65万kWの石炭火力発電所2基の建設を進めている。
この計画をめぐっては、大気汚染や気候変動への影響を懸念する地元住民らが、計画の見直しを求め、2017年12月に兵庫県公害審査会へ公害調停を申し立て、神戸製鋼、関西電力らとの協議が行われていた(リンクhttps://sekitan.jp/info/coalpowerplant-kobe_201801/)。しかし、神戸製鋼らは協議中の2018年8 月に工事計画を届け出たため、公害調停による協議を打ち切らざるを得ない状況となった(同年12月に打ち切り決定)。これをうけ地元住民らは計画を止めるため、新たな法的手段として同年9月、神戸製鋼及び子会社と関西電力を被告とする建設・稼働差止めを求める民事訴訟を提起した。さらに同年11月には、不十分な環境アセスメントにも関わらず建設を認めた国(経産省)に対する行政訴訟を提起し、現在も2つの法廷で争われている。

現在の神戸の様子の動画(2020/1/28)

撮影された動画は、JR神戸線 住吉〜六甲道で撮影されたものである。発電所周辺には、マンションや商業施設などがあり、神戸市の中心地に立地している。最も近い住居とは、神戸製鋼の敷地境界から400mで、まさに手が届く距離にある。2019年末には、煙突が完成し、発電機を設置する建屋も完成間近な様子が伺える。新たな2基の発電所が稼働すると年間690万トンものCO2が排出される。また、2002年から稼働している1-2号機とあわせると規模は270万kW、年間1,400万t-CO2を排出するとみられる。これは日本の総排出量の約1%を占め、国内最大規模の石炭火力発電所群が、150万都市・神戸の住宅地近傍に出現する。
国内外で日本の脱石炭が求められているなか、稼働すれば30年以上にわたって大量のCO2と大気汚染物質の排出を固定化してしまい、気候変動対策に大きな支障が生じる。子どもたちが安定した気候のもと、清浄な大気で暮らすことを実現するため、住民らは2つの困難な裁判に挑んでいる。政治や行政が石炭火力の建設を止められないなか、司法は、危険な気候変動問題をどのように捉え、判断を下すのか注目される。

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