東京電力が意見を募集した福島県広野・勿来の2か所の発電所(2014/6/10 東電、福島で新規建設予定の石炭発電所のCO2排出への配慮は省略!? )に加え、鹿島パワーも、茨城県鹿嶋市に新設予定の石炭火力発電所(65万kW)の計画段階環境配慮書を公開し、6月21日まで意見を募集しました。
石炭新設計画、「局長級取りまとめ」をふまえず
鹿島パワーの計画段階環境配慮書は、5月22日から6月21日までウェブサイトで公開されました。(閲覧期間が過ぎると、ファイルはウェブサイトから消えてしまうんですね。しかも、印刷やコピーもできない設定がされているうえに、パソコンにダウンロードしても、閲覧期間後は内容が表示されなくなってしまいます。皆さんもご注意を!)
ところがこの配慮書も、先の東京電力の2件の配慮書と同じく、CO2削減対策が示されていません。
USC(Ultra Super Critical:超々臨界圧)技術を採用しており、「東京電力の火力電源入札に関する関係局長級会議取りまとめ」で示されたBAT(Best Available Technology:利用可能な最良の技術)に該当するからという理由のようです。
しかし、「局長級取りまとめ」に書かれていた、CO2超過分について海外からのクレジットを買ってくるなどの措置についての検討はなされていませんし、電力業界としてのCO2削減の自主的枠組みも作る形跡は見られず、「取りまとめ」はふまえられていません。
気候変動の原因であり、環境に多大な影響を与えるCO2排出の検討なしに、“環境配慮”書などと呼ぶことができるでしょうか?よりにもよって、石炭発電所を建てようとする事業者がCO2対策を示さないということは、
あってはならないのではないでしょうか。
なお、NPO法人気候ネットワークは、これまで3件の環境配慮書について意見書を提出し、気候変動の観点から考えれば石炭火力発電所の新設そのものが容認しがたいうえ、配慮書でCO2対策を十分取り扱っていないことは問題であるとの意見を提出しています。そして、CO2排出量や発電効率など環境面を考えるための重要な情報が開示されていないのは大きな問題だと指摘しています。
参考:
・東京電力が計画する福島県広野町及びいわき市における石炭火力発電所新設について(計画段階配慮書への意見) (2014/6/13、気候ネットワーク)
・鹿島パワーが計画する鹿島石炭火力発電所2号機新設について(計画段階環境配慮書への意見)(2014/6/21、気候ネットワーク)
http://www.kikonet.org/info/press-release/2014-06-21/kashima-coalpowerplant