2013年6月に米国オバマ大統領が「気候行動計画」を発表してから3ヶ月が経ちます。そこにいよいよ環境保護庁(EPA)が、長らく検討をしてきた、気候変動への対応のために石炭火力発電所の非常に厳しい規制に乗り出しました。
写真の出典:: Phil Noble/Reuters
EPAの規制案は、9月20日に「大気浄化法(クリーン・エア・アクト)」の基準として発表されています。この中で、石炭火力発電所の新設については、CO2排出量を1100パウンド/MWh(500g-CO2/kWh)と非常に厳しい基準を満たす必要があるものです。現在、日本の中で世界最高効率を“誇っている”J-Powerの磯子火力発電所では、高効率微粉炭火力発電技術(USC技術)が使われていますが、これで排出原単位が約800g-CO2/kWhといわれています。さらに効率が良いとされる石炭ガス化複合発電(IGCC)でも710g-CO2/kWhもあることをふまえると、いかにこの提案が厳しいものであるかがわかるでしょう。もし本当に、この新基準案の数値をクリアして石炭火力発電所を新設しようとするならば、二酸化炭素の回収・貯蔵 (CCS) 技術を併用することが前提となり、当然ながら大幅なコスト高にもなりますから、実質的に石炭火力発電所の増設を阻止する提案と言えそうです。 この提案は、これまでに賛否含めた約250万件ものパブリックコメントをふまえた上で提示されているということで、今年6月にオバマ大統領が発表した「気候行動計画」を具体化するためのきわめて重要なステップだと言えます。来年6月1日には発効する予定だということです。
出典:
EPAの新火力発電所の規制提案について http://yosemite.epa.gov/opa/admpress.nsf/0/da9640577ceacd9f85257beb006cb2b6!OpenDocument
大統領の気候変動対策計画 URL:http://www.whitehouse.gov/sites/default/files/image/president27sclimateactionplan.pdf