アメリカで200基の石炭火力発電所が運転停止に – 市民の力で勝ち取る –


世界で沸き起こる石炭への反対運動

石炭火力発電に対する市民の反対運動は、世界中で起こっています。アメリカでは2010年からこれまでに多数の石炭火力発電所が運転停止に至り、2015年7月15日、その数はついに200基に達しました。これはなんと5年前に稼働していた石炭火力発電所(523基)の約4割にあたります。

これら200基が引き起こす大気汚染によって、2009年には6,000人が心臓発作を起こし、60,000人がぜんそくに苦しみ、3,600人が亡くなったとされています。また、子どもの先天的な異常や神経障害の原因となる水銀は、年間約3,400kg(7,600ポンド)もの量が排出されていました。CO2排出量も1.9トンに及んでいました。石炭発電所が運転をやめることによって、気候変動対策となるだけではなく地域の人々の健康にも大きく貢献しています。

市民の力

これには環境NGOのシエラクラブが展開するBEYOND COALキャンペーンが深くかかわっています。シエラクラブは、100以上の団体、何千もの活動参加者と連携して、地域が主体となった活動を続けてきました。つまりこの快挙は、市民の力によって勝ち得たものと言えるでしょう。

日本各地にも石炭火力発電所にNOを突きつける市民がいます。例えば神戸市では、神戸製鋼の石炭発電所に対して複数の団体が反対の意思表示を続けてきました。現在計画されている130万kW(65万kW×2基)の新設計画に対しても、環境や健康への懸念から計画中止を訴えています。日本においても、このような一つ一つの発電所の建設に対して声を大きくし、広げていくこと、そしてほかの地域の計画に対しても声をあげていくことが、現在の石炭計画乱立の流れを変えていくためにとても重要だということを、アメリカの事例は教えてくれます。

参照リンク

アメリカで200基もの石炭火力発電所が運転停止へ 再生可能エネルギーの勢い増す(2015/7/15 シエラクラブ)

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