2026年4月27日、フランスは、コロンビアのサンタマルタで開催された「化石燃料からの移行に関する第1回国際会議」の開催にあわせ、脱化石燃料ロードマップを発表しました。
このロードマップは、以前に設定された目標を強化するものである一方、既存の化石燃料段階的廃止計画を履行するための具体的な詳細を示したことが特徴で、気候変動対策を掲げながらも化石燃料の段階的廃止に向けた実践的な提案をいまだ発表していない他の国々にとっての模範となるものです。
化石燃料からの脱却に向けたフランスのロードマップである「国家低炭素戦略(SNBC)」には、2030年までに石炭、2045年までに石油、2050年までに化石由来のガスを廃止するという中間目標を掲げ、フランスが2050年までにいかに化石燃料を廃止するかを正確に説明しています。

現在、フランスは化石燃料の輸入に大きく依存しており、それが最終エネルギー消費の約60%を占めています。この依存状況に対処するため、SNBCでは、化石燃料への依存度が最も高い部門である運輸、建築、大規模および小規模製造業に対する具体的な手順を定めています。
2030年までの石炭火力廃止を達成するため、最後に残る2カ所の石炭火力発電所の閉鎖は2027年に予定されていますが、フランスのエネルギー消費のより大きな割合(それぞれ38%と19%)を占める石油とガスについては、廃止を実現するために、より包括的なアプローチが必要となります。そのため、SNBCには現在の発電方法に対する規制と、再生可能エネルギーへの移行に向けたインセンティブの両方が含まれています。
また、フランスにおける石油の66%が運輸部門で使用されていることから、2030年までに新車販売の3分の2を電気自動車(EV)にし、2040年までに内燃機関(エンジン)搭載乗用車の販売を終了するといった目標を掲げ、公共交通機関の利用促進や国内でのEV生産へと方向転換しています。
さらに、ロードマップでは住宅用暖房設備における化石燃料の段階的廃止についても詳述しており、2026年末までに新築ビルでのガスボイラー設置を禁止することを手始めに、既設のガスや石油ボイラーをヒートポンプに買い替える世帯への補助金を提供することにより2030年までに年間100万台のヒートポンプが設置されると見込んでいます。
脱化石燃料の加速に向けた主要施策・目標

建物のエネルギー効率向上や、運輸部門の大規模な電化に向けた充電ステーション・インフラの整備を通じて化石燃料の使用を削減するとともに、SNBCと同様にフランスのロードマップとなっている「エネルギー多年度計画(PPE)」では、国内の再生可能エネルギー生産を拡大するための目標を設定しています。ここには2035年までに太陽光発電の設置容量を3倍、水力発電を2.8GW、洋上風力発電を15GW増加させるという野心的な目標が示されています。「脱炭素エネルギー」には原子力、水素、バイオメタンも含まれていますが、フランスはこれらすべてを利用して、化石燃料の段階的廃止を進めようと計画しています。

SNBCは、2030年までに温室効果ガス(GHG)排出量を1990年比で50%削減することを目指しており、これは日本の2030年度目標(2013年度比46%削減)よりも野心的です。それでもなおフランスは、より緊急性を持って包括的な目標を設定し、取り組みを始めているEUの気候変動対策のリーダーたちに後れを取っています。
本ロードマップの強みは、フランスが気候変動に関する公約を果たすための説明責任を強化させている点、そして、他の国々がどのように段階的廃止目標を達成するかを具体的に提示するための基準を定めている点にあります。
フランスのリーダシップに示されるように、いま求められているのは目標の掲示にとどまらず、その実現に向けた具体的なロードマップと削減方法を明確にすることです。日本も化石燃料の段階的削減のためのロードマップの策定が急務です。
参考
- フランスの「化石燃料からの移行に向けたロードマップ」(2026年4月)
- 1st Conference Transitioning away from Fossil Fuels, Colombia – The Netherlands(化石燃料からの移行に関する第1回国際会議)

