【ニュース】「化石燃料からの移行に関する第1回国際会議」、脱化石燃料の議論開始


2026年4月24日〜29日、コロンビアとオランダの共催により、コロンビアのサンタマルタで「化石燃料からの移行に関する第1回国際会議」が開催されました。実施に焦点を当てた会議には約60ヵ国から代表者が集まり、化石燃料からの脱却に向けた多様なアプローチを明確にし、その取り組みを推進することを目指して議論が行われました。

「化石燃料からの移行に関する第1回国際会議」とは

招待された参加国は、関連するイニシアチブや連合などへの過去の参加実績に基づき、かねてより移行への意欲を示している化石燃料の生産国および消費国です。G7諸国では、日本と米国以外の国々が同会議に代表団を派遣しました。また、政府代表による公式な参加に加え、アカデミアや民間セクター、市民社会などの非国家アクターも同会議に参加しました。

化石燃料からの移行に関する第1回国際会議の位置づけ

この会議は…この会議は…ではない
・ 国、地方自治体、市民社会や他のステークホルダーが有意義で影響力のある参加を通じて民主的な気候ガバナンスを深める、革新的で対等な会話をおこなう
・ 秩序ある化石燃料の段階的廃止に向けた実行重視の取り組み推進の用意ができている国々のための持続的な政治的プラットフォームである
・ 国連気候変動枠組み条約を補完する場で、正式にCOP30議長によるロードマップ策定に貢献するとともに、実践を加速させる
・ 新しい化石燃料条約を交渉する場ではない
・ 国連気候変動枠組条約に代わるものではない
・ COP30議長による脱化石燃料ロードマップに代わるものではない
・ 懐疑論者を説得する場ではない
出典:「What the conference is and is not」(会議ウェブサイトより、気候ネットワーク仮訳)

会議の議論は、「化石燃料への経済的依存の克服」、「化石燃料の需給の転換」、そして「国際協力と気候外交の推進」という3つの重点分野に沿って進められました。

会議ではどんな議論が行われたのか

経済的依存からの脱却

会議で議論された化石燃料からの移行における障壁の一部として、財政的なロックイン(固定化)や、債務による財政余力の制約という課題をいかに乗り越えるかという点が挙げられました。また、この移行には、化石燃料への依存を支え続けている社会的条件の包括的な変革が必要であり、特定の環境分野や公的財源を推進するだけでは不十分であるという点についても議論されました。化石燃料からの移行を推し進める意欲のある国の多くが、金融システムの化石燃料への依存など、国内の経済的・法的な構造上の依存関係を克服しなければならない課題を抱えています。

会議の参加者は、化石燃料から再生可能エネルギーへの移行を遅らせる原因となっている、化石燃料への補助金や財政的インセンティブの不一致について議論を交わしました。国内のエネルギー転換に影響を及ぼすこのような制度設計は、日本でも見られます。容量市場や長期脱炭素電源オークションなどは、非効率で非現実的であっても既存の化石燃料資産を守ろうとする金融構造の典型的な例です。こうした仕組みは、各国および国際的なコミットメントに反するだけでなく、手頃で信頼性の高い再生可能エネルギーの普及を事実上停滞させるものであるため、見直しが求められます。

需給の転換

会議の参加者は、各国が自国のエネルギーシステムに応じて、入手しやすさや信頼性に関して大きく異なるリスクに直面しており、それが化石燃料の需要を減らすことの実現可能性に影響を及ぼしていること、さらに、将来を見据えたグリッドの整備が、化石燃料からの移行において中心的な役割を果たすことを認識しました。一方で、供給構造の転換に関しては、現在の地政学的・安全保障上の情勢が、化石燃料の生産を維持するよう世界的に圧力を生み出していることも認めています。

「需給の転換」をテーマとした会議の議題の多くは国内のエネルギー動向に焦点を当てたものでしたが、参加者は財政的インセンティブの改革を実現する国際的な環境整備がおよぼす影響についても議論しました。具体的な解決策の一つとして、より広範な分野や地域を網羅する、より強力なカーボンプライシング(炭素価格制度)の導入が挙げられました。このような規制の強化は、輸入化石燃料の需要を減らし、国内の再生可能エネルギー・インフラを支えるために資金を振り替えることにつながるでしょう。

国際協力と気候外交の推進

各国が具体的な実行計画の策定に着手し始めている中、参加者は、より強力な国際協力の必要性を認めるとともに、他の関連する実施プラットフォームとの連携を強化することを通じて状況を改善する道筋として、国連気候変動枠組条約(UNFCCC)の発展を支援することの重要性を確認しました。さらに、国際投資協定や貿易ルール、投資制度における移行政策見直しなどを通じて、財務的および法的な側面を管理するため国際的に調整されたアプローチを強化することについても議論を交わしました。

会議後のステップ

サンタマルタ会議の閉幕にあたり、2027年にツバルとアイルランドが共催で第2回目の会議を開催することが発表されました。日本が参加するかどうかは現時点では未定ですが、日本が国内政策をパリ協定の1.5℃目標と整合させるには、化石燃料の利用を段階的に削減するための計画を策定することが極めて重要です。

同会議は、各国が化石燃料からの脱却に向けたロードマップを進める上で、科学的根拠に基づく移行計画に割り当てられるリソースにばらつきがあるという、国際的な気候外交における重大なギャップを浮き彫りにしました。この課題に対処するため、各国による化石燃料の段階的廃止に向けたロードマップの策定を支援することを目的とした「Science Panel for the Global Energy Transition(仮訳:グローバル・エネルギートランジションのための科学パネル、SPGET」が発足されました。世界中の気候変動の専門家が集まったSPGETは、今後数年間、各国が段階的廃止目標を達成するために必要な具体的なタイムラインと行動計画を策定する支援を行うとしています。

さらに、会議の締めくくりには第2回会議に向け、3つの作業部会を立ち上げると発表されました。

参加国は、SPGETの助言を受けながらロードマップの策定に取り組み、マクロ経済的な依存関係や金融構造、さらには化石燃料の生産国と消費国を踏まえた全体的な調整といった課題に取り組むことになります。4月27日に脱化石燃料ロードマップを発表したフランスのように、一部の国では早くも独自のロードマップの策定に着手しています

このように化石燃料からの脱却に向けた具体的なステップが明確化されたことにより、2050年ネットゼロ目標に向けた具体的な策がいまだに曖昧なままである日本のような国々における計画の欠如を際立たせる結果となりました。将来世代に対する説明責任を果たすためには、現在掲げられている高レベルな温室効果ガス排出削減目標を達成するための、具体的な道筋を確立すべき時に来ています。

参考
1st Conference Transitioning away from Fossil Fuels, Colombia – The Netherlands (リンク
CO-HOST TAKEAWAYS ON THE FIRST CONFERENCE ON TRANSITIONING AWAY FROM FOSSIL FUELS SANTA MARTA, COLOMBIA (PDF)

JBCパートナー団体からの発信
WWF: サンタマルタ会議と国連総会決議に見る日本への示唆(2026/6/3)(リンク
気候ネットワークPR:【プレスリリース】サンタマルタに集まった約60ヵ国が化石燃料のない未来への第一歩を踏み出す(2026年5月1日)(リンク
気候ネットワークブログ:世界初、化石燃料からの公正な移行を議論する国際会議がいよいよ開催!(リンク