世界で再生可能エネルギー(再エネ)の拡大が加速しています。長らく石炭に依存し、日本と同様、エネルギー安全保障のためには石炭が欠かせないと主張してきた中国も、大きな転換点に差し掛かっています。
中国で急拡大の太陽光が石炭を押し下げる
最近発表されたデータから、中国では2026年に太陽光発電の設備容量が石炭火力の設備容量を追い抜く見込みであると報道されました。中国における石炭火力の設備容量は、2026年末までに約1,333ギガワット(GW)に達すると予測されています。一方で、太陽光発電は2025年末までに1200GWに達し、過去3年間、年平均270GWのペースで増加しています。中国では2015年以降、大規模太陽光発電の設備容量が1,554%増加。中国の発電能力に占める太陽光発電の割合は、2015年の2.4%から2025年の18.3%にまで拡大しています。これによって電力構成における石炭火力の割合は64%から過去最低の42.7%に低下しました。
またGlobal Energy Monitorのデータによると、中国では2025年までに1,494GWの「クリーン電力」設備が稼働すると見込まれていますが、これは化石燃料(石炭、ガス、その他)による1,420GWを上回る規模です。既に中国のエネルギー供給源の51%が「クリーンエネルギー*」由来となっており、ブラジル、フランス、ドイツに続き、「クリーンエネルギー」を主力電源とする経済国に仲間入りを果たしていることが示されています。
*クリーンエネルギーには風力、太陽光、水力、バイオエネルギーに加えて原子力が含まれる。
再生可能エネルギー拡大の動きは、地域にも広がっています。中国の中でも石炭資源が豊富で、火力発電によるエネルギー供給で重要な役割を担ってきた山西省でも再エネが拡大しており、2025年には再エネ発電設備容量が石炭火力を上回り、同省最大の電力源となったと報じられました。
世界でも再エネの発電量は着実に増加
再エネによる発電量の増加は、国際エネルギー機関(IEA)が2月6日に発表した報告書「Electricity 2026」からも明らかです。IEAによると世界各地での再エネの急速な普及と大幅なコスト低下に支えられ、再エネは年間約1,050テラワット時(TWh)のペースで増加。2030年までには太陽光発電(PV)が単独で年間平均600TWh以上を供給し、再エネと原子力とで2030年の電源構成の半分(2025年の42%から2030年には51%に増加)を超えると予測しています。それに対し、石炭は緩やかに減少し2025年の34%から2030年の27%に減少すると予測されています。
IEAは、世界の電力需要は2026〜2030年の5年間に年平均3.6%で成長すると予測しています。2030年の世界の電力需要が33,600TWhに増加するものの、再エネが約16,000TWhを供給することになると報告しています。まさに、IEAが予測した「Age of Electricity(電力の時代)」の到来が具体化し始めているとも言える傾向です。太陽光や風力といった再エネの比率が2025年には全体の約3分の1となり、石炭火力とほぼ同じになっています。
中国での再エネ拡大は排出量削減に寄与
中国の発電量の大半は依然として石炭火力が担っていますが、中国が世界最大の太陽光市場へと変貌を遂げていることは、再生可能エネルギーのコストと規模における優位性を示していると言えるでしょう。少なくとも中国では、電力需要の伸びを再エネの成長が上回っている状態であり、この傾向が化石燃料の割合を減じ、排出量の削減につながり始めているのです。Carbon Briefの委託で行われたエネルギー・クリーンエア研究センター(CREA)の分析によると、2025年の中国のCO2排出量は前年比0.3%減となっています。コロナ禍で経済活動が停滞していた2022年以来の減少です。パリ協定の目標達成には今後5年間に炭素強度を約23%削減させる必要があると指摘されていますが、2030年までにCO2排出量をピークアウトさせるとしており、2023年からほぼ横ばいで推移してきた排出量が、2025年に減少に転じたことは注目に値します。
中国の石炭需要の減少が世界の石炭貿易量にも影響
中国は自国で石炭を産出していますが、国内での需要を賄うためにロシア、インドネシア、オーストラリアなどから輸入もしています。年間40億トン以上の石炭を消費しており、この量は世界の石炭消費量の50%以上を占めるほどです。国家統計局によると、2025年1〜12月の原炭生産量は48億3,000万トン、前年比1.2%増加で過去最高の数量でした。2025年の石炭輸入量(海上・陸上含む)は、国内で石炭火力がペースダウンしたことで4億9,027万トンと、過去最高だった前年から9.6%減少しています。
英海事調査大手クラークソンズ・リサーチによると、中国をはじめとする主要な石炭輸入国での需要が減少したことと、インドネシアの政策的な石炭出荷抑制が相まって、2025年の世界の石炭貿易量は13億3000万トン、前年比4%減となりました。欧州やOECD加盟国では、再生可能エネルギーの成長が石炭火力の減少、ひいては石炭需要の抑制になると見られています。石炭の貿易量はこれまで底堅いものがありましたが、世界の再エネの成長にともない石炭需要も今後さらに減少すると見込まれます。
中国の石炭需要には不確実性はあるものの、同国での再エネの成長は今後も続くと見られており、2026年に火力発電が再び増加する可能性は低いことも踏まえ、世界のCO2排出量の増加傾向は転機を迎えているとの見方も出てきています。
火力依存を続けている日本は、すっかり出遅れています。
参考
- Carbon Brief : Analysis: China’s CO2 emissions have now been ‘flat or falling’ for 21 months
- Global Energy Monitor : Explore data in the Global Integrated Power Tracker
- Global Energy Monitor and CREA: Built to peak : Coal power expansion runs out of room in China
- IEA : Electricity 2026

