【ニュース】国内4企業への気候変動株主提案 総会議決報告


マーケット・フォース、気候ネットワークの2団体と350.org Japan、FoE Japan、レインフォレスト・アクション・ネットワーク(RAN)の3団体に所属する個人株主らが、より積極的な気候変動対策に取り組むことを求めて株主提案を提出していた4社の株主総会が、6月29日をもって全て終了しました。

株主提案を提出していた4社とその総会での提案決議の結果を下表に示します。

※提案内容の詳細は、それぞれの提案書をご覧ください。(掲載記事はこちら

中でも特筆したいのは、日本の大手電力事業者である東京電力ホールディングス(以下、東電)と中部電力(以下、中電)での決議結果です。両社における賛成獲得数は、否決されたとは云え、異例の高さであり、多くの株主が電力事業者にも脱炭素への取り組みを強化することを求めていることが見て取れます。

今回の東電と中電への株主提案は、日本最大の火力発電事業を保有するJERAを50/50で共有することから、JERAの脱炭素へのロードマップを踏まえつつ持株会社である東電と中電に気候リスクの管理を改善するよう求めたものです。東電の株の54%を原子力損害賠償・廃炉等支援機構が持っている、つまり事実上は国有化された企業であることを踏まえれば、東電の決議で9.55%の賛成票は、2割以上の株主が賛同したことを意味すると考えられます。さらに、日本でJERAに続く2番目の電力事業者である電源開発(J-POWER)の株主総会(同28日に開催)で、国外の機関投資家から出された脱炭素戦略の強化を求める株主提案(3つの議案)に対し、各々25.8%、18.1%、18.9%の賛成が投じられたことを合わせて考えれば、電力事業者の株主にも気候リスクの財務情報開示の重要性が認識されていることが伺えます。

これらの株主提案の議決結果は、気候変動によるリスクおよび関連情報開示の重要性への認識、と共に脱炭素への取り組みをパリ協定と一致させるための行動への期待が高まっていることを意味しています。気候関連リスクに課題を抱える企業に対して、これまで以上に厳しい目が向けられているのです。

今年は、ここに挙げた環境NGOによる株主提案以外にも、さまざまな企業に対し、ネットゼロの達成に向けた行動や、情報の開示あるいは情報の透明性の向上、再生可能エネルギーの活用拡大を求める株主提案が複数提出されていました。

気候変動という世界共通の深刻な脅威に対抗するための行動を求める機関投資家や株主の意向が示された今年の株主総会での議決結果を受け、各企業がどのように対策を進めるのか注目されます。

関連リリース

投資家たちが日本企業に迅速な気候変動対策を要求(2022年6月29日)

Credit : Taishi Takahashi, 350 Japan

関連サイト

Fossil Free Japan: 

国内外の環境NGOによる国内4企業への気候変動株主提案~決議結果および共同提案者からの声明~ https://fossilfreejapan.org/ja/japanese-shareholder-proposals-results-2022/

*写真はSMBC株主総会当日朝のアクション