【ニュース】JERAがアンモニア20%混焼の実証実験を碧南で開始


国内最大手の火力発電事業者であるJERAは3月13日、同社の碧南火力発電所(愛知県碧南市)で、石炭火力にアンモニアを20%混焼して燃焼させる実証試験を26日から開始すると発表しました。

碧南火力発電所は、1~5号機で計410万kWの出力を持つ日本最大級の石炭火力発電所です。JERAおよびアンモニア高混焼バーナの開発を担うIHIは、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の助成を受け、2021年度に碧南火力発電所5号機(発電出力:100万kW)で実施した0.02cal%分に相当するアンモニアを混焼する実験を経て、今回は4号機(100万kW)の燃料にアンモニアを(燃料比で)20%混ぜて燃やす実験を行います。この実証実験は、約3か月間行われる予定です。その燃料アンモニアは、約3~4万トンとされ、三井物産が海外から調達します。大型の商業炉でのアンモニア20%混焼は、世界初の試みとなります。

13日には報道陣向けに、アンモニア混焼用の燃焼装置や配管、アンモニア貯蔵タンクなどが公開されました。

JERAはアンモニア20%混焼によってCO2排出量を20%削減できると主張し、2027年度以降に20%混焼の商用化を目指しています。しかし、アンモニア20%混焼が実現したとしても、残りの80%の燃料は石炭を使用し続けることになり、削減効果は少ない上、石炭火力の延命につながってしまいます。JERAは将来的にアンモニアの100%専焼を目指すとしていますが、今回の実証試験で使用するアンモニアを含め、当面はグレーアンモニア(化石燃料から製造されるアンモニア)またはブルーアンモニア(製造時に排出されるCO2を一部回収貯留したアンモニア)を輸入して使うことになります。つまり、現時点では製造時や輸送時にCO2が排出されるアンモニアを混焼していることになり、ライフサイクルを見れば排出削減にはつながりません。既に技術的に確立しており、CO2排出削減効果も高い太陽光や風力などの再生可能エネルギーと比べ、アンモニア混焼による発電は、燃料コストが高く経済合理性に欠けることも問題です。そして何よりも、2030年以降にも石炭火力を利用し続けることになるアンモニア混焼は、1.5℃目標の実現を危うくしてしまいます。

JERAのロードマップでは、2030年までのアンモニア20%混焼の本格運用、2030年代に50%混焼の本格運用、2040年代にアンモニア専焼に移行するとしていますが、大規模火力発電所での専焼が技術的に可能になったとしても、その時点までにグリーンアンモニア(製造時にCO2を排出しないアンモニア)の大量供給が可能かは疑問です。大型石炭火力発電所1基で20%混焼をするのにも、1年で約50万トンのアンモニアが必要になると試算されており、この量は、現在国内で消費されているアンモニアの半分に相当します。JERAは気候変動対策として効果の乏しいアンモニア燃料の利用の隘路にこのまま突き進むのではなく、再生可能エネルギーの利用拡大への早期に舵を切るべきです。

日本国内では、九州電力も松浦発電所2号機(長崎県)でアンモニア混焼実験を実施し、沖縄電力も具志川発電所1号機(沖縄県)などが混焼実験を計画するなど、アンモニア混焼を脱炭素への切り札としていますが、アンモニア混焼技術を確立し、グリーンアンモニアを大量に供給するためのサプライチェーンを構築する時間的猶予は残されていません。2030年までの石炭火力のフェーズアウトに向け、再エネへの着実な転換を進める必要があります。

※4月1日の午後、JERAがJERA碧南火力発電所における燃料アンモニア転換実証試験を開始とのリリースを発出しました。

関連情報

Japan Beyond Coal:【レポート】石炭火力のアンモニア混焼による大気質への影響調査(リンク
FoE Japan:JERA碧南火力でのアンモニア混焼実証試験に対し抗議〜アンモニア混焼は気候変動対策ではない〜(リンク