【ニュース】ジュリアン・ヴィンセント氏がゴールドマン環境賞を受賞


ジュリアン・ヴィンセント氏がゴールドマン環境賞を受賞
気候変動に対する取り組みが評価されての受賞~株主活動にも参加

2022年5月25日、オーストラリアの環境団体マーケット・フォース 代表のジュリアン・ヴィンセント氏が、環境分野のノーベル賞として知られる『ゴールドマン環境賞』を受賞しました。同賞は、2021年に日本の気候ネットワーク理事/Climate Integrate 代表理事の平田仁子氏が受賞しており、2年連続で気候変動の進行を止めるべく、石炭および化石燃料への依存と戦い続けるNGOのメンバーにこの栄誉ある賞が贈られたことになります。

ヴィンセント氏は、石炭輸出国であるオーストラリアで、石炭への資金の流れを止めるためのキャンペーンを成功させ、国内の4大銀行から2030年までに石炭プロジェクトへの資金提供を終わらせるというコミットメント(誓約)を引き出してきました。彼の活動により、オーストラリアの主要な保険会社も、新規の石炭プロジェクトへの引受業務は行わないとしています。彼が率いるマーケット・フォースが、オーストラリアの石炭産業にとって厳しい金融状況を作り出したことは、気候変動を早める化石燃料の使用を減らすための重要な一歩となっているのです。

そして、ヴィンセント氏の活動は、オーストラリアから化石燃料を輸入している日本の企業や東南アジアにおける石炭火力発電プロジェクトにも広がっています。今年、ヴィンセント氏が率いるマーケット・フォースは、日本のパートナー団体およびそこに所属する個人株主とともに、SMBCグループ、三菱商事、東京電力と中部電力の4社に気候変動対策の改善を求める株主提案を提出しました。氏本人も積極的に企業との対話に臨み、気候変動対策がいかに急務で重要かを訴えています。

受賞記者会見にあたって述べられた発言を以下に引用します。

「国際エネルギー機関(IEA)などの専門家は、化石燃料産業の規模拡大を止める必要があることを明確に述べています。しかし日本に拠点を置く企業は、クリーンエネルギーへの移行からかけ離れており、化石燃料の大幅な拡大を推し進めています。私が賞をいただいたことは、金融と投資を環境問題を解決する力に変えるための運動の重要性をあらためて示すものと捉えています。気候危機を回避するための時間は残り少なく、日本の大手企業や投資家が日本や世界のために再生可能なエネルギーの方向を示し、石炭、石油、ガスから離れることが切実に求められているのです。」

(ジュリアン・ヴィンセント – 2022年ゴールドマン環境賞受賞者 マーケット・フォース 代表)
– 5月27日の記者会見案内より

 

参考:

2021年、石炭火力への反対運動を後押しする取り組みが評価され、同賞を受賞した平田仁子さんについてはこちらをご覧ください。