電源開発 (Jパワー)は9月28日、長崎県西海市にある松島火力発電所に石炭のガス化発電設備を付加するGENESIS松島計画の環境アセスメント手続きに着手し、「計画段階配慮書」を経済産業大臣、長崎県知事、西海市長へ送付、縦覧と意見の募集を開始しました。
この計画は、1981年に運転を開始した50万kWの既存の石炭火力発電所(超臨界圧:SC)2基のうち、1基(2号機)に石炭のガス化発電設備を付け加え、効率を高めて使用し続けるというものです。燃料は石炭のままなので、CO2の排出が従来より若干減ったとしても、発電所からの大量のCO2排出が続くことには変わりません。配慮書によれば、工事開始は2024年度、運転開始は2026年度です。計画が進めば、その先、2030年以降も動かし続けることは確実で、長期にわたってCO2の排出を固定化することになります。
Jパワーは、本計画を進めることで、2021年2月に発表したJ-POWER “BLUE MISSION 2050”で表明しているこのガス化設備を付加する技術の商用化、将来の水素・アンモニアの発電での利用や、炭素回収・利用・貯留(CCUS)の実現への足がかりを得たい考えのようです。しかし、実用化の目途が全くたっていない不確実なこれらの技術を言い訳に石炭火力を温存することは、結局長期にわたってCO2を排出し続け、1.5℃目標とのギャップを広げることにほかなりません。脱石炭に向けた世界の潮流からの逆行そのものです。この数年、日本が石炭火力で国内外から大きな批判を浴びてきたことを考えれば、この計画がいかに時代錯誤であるかは明らかです。また、従来の古い石炭火力に設備を付加して延命しても、大規模排出源になることは変わらず、将来、座礁資産となるリスクも高い計画だと言えます。
気候ネットワークは、この事業計画の問題を指摘し、環境アセスメントへの意見提出の参考となる読み解きペーパーや意見書案などをまとめてWEBサイトで公開しています。また、今回の計画に対しては、350 NEW Eneration、気候訴訟Japan、Fridays For Future Nagasakiといった、若者が中心となっているグループが次々と動きだし、新たに浮上した石炭火力発電所の計画を中止するようJパワーに求めています。
意見書の提出締め切りは10月29日(消印有効)です。ぜひ、多くの人から意見を提出し、計画を止めるように求めましょう。
参考情報
気候ネットワークWEBサイト:「GENESIS松島計画」に対する環境アセスへの意見提出を!(リンク)
意見書の出し方
意見は事業者宛てに直接郵送するか、送付代行フォームに記入することで提出することができます。所定のフォームに記入して期日までに提出する必要がありますのでご注意ください。
1)郵送の場合
J-POWER指定の「GENESIS松島計画 計画段階環境配慮書 ご意見記入用紙(PDF)」をダウンロードして記入し、郵送してください。
郵送先 〒104‐8165 東京都中央区銀座6-15-1 電源開発株式会社 立地・環境部 環境室
郵送期日 2021 年10 月29 日(金)まで 当日消印有効
2)フォームに記入の場合
フォームに記入の上、送信してください。こちらで所定の用紙に記入して郵送します。
記入期限:10月27日(水)まで(作業の関係上、フォームへの入力の締切を事業者の郵送期日より早く設定しておりますのでご注意下さい。)