2024年6月14日、6月13日から15日にイタリア南部プーリア州で開催されていた主要7カ国首脳会議(G7サミット)の合意文書(コミュニケ)に、初めて二酸化炭素(CO2)排出削減対策が講じられていない(Unabated)石炭火力発電を2030年代前半に段階的に廃止することが記されました。
これは、4月末のG7気候・エネルギー・環境大臣会合における「2035年までに電力セクターの完全な脱炭素化もしくは大半の脱炭素化を達成し、2030年代前半、もしくは各国のネット・ゼロの道筋に沿って、1.5℃目標と整合的なスケジュールで、同石炭火力発電の段階的廃止のコミットメントを再確認する」との合意内容を踏襲したものです。
日本は全発電量に占める石炭火力の割合が2022年度で30.8%を占めており、現行の第6次エネルギー基本計画では2030年度時点でも総発電量の19%を石炭でまかなうことになっています。国際エネルギー機関(IEA)の G7への提言(Achieving Net Zero Electricity Sectors in G7 Members)には、各国は削減対策を講じていない石炭火力を2030年に廃止すると記されているにも関わらず、今まで石炭火力の廃止年限を定める議論が行われるたび、日本などの反対により合意が見送られてきました。今回、「排出削減対策が取られていない」という解釈に曖昧さが残るものの、気候・エネルギー・環境大臣会合に続いて、G7サミットの合意文書でも段階的廃止年が書き込まれたことにより、日本が今までのような自己解釈で石炭火力の利用継続すること、および石炭火力の延命策をとり続けることには、これまで以上に国際社会から厳しい目が注がれることになるでしょう。
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賛同団体からのリリース