国際エネルギー機関(IEA)が、2022年のエネルギー関連の温室効果ガス排出量を分析したレポート「CO2 Emissions in 2022」を発表しました。このレポートには、あらゆるエネルギー起源および産業プロセスからの二酸化炭素(CO2)排出量に関する推定値とともに、エネルギー関連のメタン(CH4)と亜酸化窒素(N2O)の排出量も記されています。
レポートのポイント
◇ 2022年の世界のCO2排出増加量は321Mt(0.9%)に抑えられたものの、過去最高水準を記録 – 世界的なエネルギー危機の中、石炭や石油の使用量は増加したが、太陽光、風力、電気自動車、ヒートポンプ、エネルギー効率の向上が進んだことで当初懸念されていたよりは抑制された
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- 2022年のエネルギー燃焼および工業プロセスによるCO2排出量は321Mt-CO2(0.9%)増加し、36.8 Gt(CO2換算で368億トン)と過去最高を更新
- アジアで石炭回帰(ガスから石炭への転換)が進んだことで243 Mt(1.6%)増加し、過去最高の約15.5Gtに至る – これは過去10年間の平均増加率を大きく上回る
部門別排出量 |
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燃料別排出量 |
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地域別排出量 |
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◇ 再生可能エネルギーの拡大が、石炭火力発電からの排出量増を抑制 – 2022年の世界的な発電量の増加の9割を再生可能エネルギーが占める
◇ 2022年のCO2増加率は、世界のGDP成長率3.2%を大きく下回る
◇ 2022年の排出量拡大分の約5分の1が異常気象に起因- 321Mt-CO2の増加のうち、60Mt-CO2は異常気象による冷暖房の需要の影響
このレポートには、2021年の増加量(6%超)に比べればはるかに小さかったものの、依然として化石燃料からの排出量が増加しており、世界の気候目標達成に向けた取り組みの妨げとなっていることが示されています。世界的なCO2排出削減が求められる中、昨年の排出量増加の約5分の1が異常気象による冷暖房需要の増加の影響というのは皮肉としか言えません。気候変動で異常な熱波や寒波の発生頻度や度合が激しくなるのに伴い、この傾向は続くと見られています。
IEAは、排出量は依然として持続不可能で危険な温暖化の道を進んでいるため、再生可能エネルギー、電気自動車、ヒートポンプなどのクリーンエネルギーへの移行を加速し、気候変動を抑えるための目標を達成するための道筋に向けて行動を強化するよう求めています。
資料
IEAによるプレスリリース:Global CO2 emissions rose less than initially feared in 2022 as clean energy growth offset much of the impact of greater coal and oil use(リンク)
レポートダウンロードページ:CO2 Emissions in 2022(リンク)
作成・発行:国際エネルギー機関(IEA)
発行:2023年3月2日