日本への石炭輸出に反対するオークランド住民の活動紹介


日本は国内で利用する石炭を輸入に頼っています。世界的に脱石炭が進む中、石炭火力発電に依存する日本向けの石炭輸出を止めようとする活動が海外で起こっています。ここでは、米国カリフォルニア州オークランド市において、毎年数百万トンの石炭を日本に輸出することを止めるための活動をしている地域団体「No Coal in Oakland  (NCIO)」を紹介します。NCIOは、港湾ターミナルの計画を阻止することで石炭の輸出を止めようとしています。

No Coal in Oakland (NCIO)

サンフランシスコ湾東海岸、オークランド市内にバルク商品用港湾ターミナルの建設計画があります。私たちは2015年に開発業者たちが秘密裏にそのターミナルを石炭輸出に使用する計画を立てていることを知り、このターミナルから石炭を排除するためにNo Coal in Oakland (NCIO)を組織しました。NCIOはコミュニティに根ざした組織です。

なぜ石炭が問題か

石炭は、輸送、貯蔵、利用のいずれの工程からも粉塵が発生します。石炭からの粉塵はPM10やPM2.5のような微粒子を含み、深刻な病や死因となることが知られています。これらの微粒子は炎症を起こすことで、肺、心臓、血管を傷つけます。その結果、心臓発作、心筋梗塞、喘息、認知症、糖尿病、その他の健康問題をもたらします。すなわち石炭は、採鉱者や、炭鉱と火力発電所の側に住む人々を死に至らしめます。そしてそのサプライチェーンのすべてにおいて、病や死をもたらすものです。

提案されているターミナルはオークランド港に隣接することになります。オークランド港は長きに渡って汚染物質を多く排出するディーゼルトラックの交通量が集中してきた場所です。このことは港と提案されているターミナルの側に住む西オークランドの住民に不当な健康被害を生じさせています。私たちのコミュニティでは、港の運用に伴う汚染を減らすために活動してきており、これまでにいくつかの点で進展をみてきました。だからこそ私たちは、毒性のある石炭粉塵によって再び後戻りさせられ、これ以上私たちの健康を害することを認めることはできません。

開発業者の主張

オークランドバルクおよび大型貨物用ターミナル(OBOT)の建設はオークランド市によって認可されました。OBOTはコンテナ船のみを扱うオークランド港では扱えない商品の輸出を可能にします。これまで何年も開発業者たちは地域コミュニティに対して、ターミナルは石炭を扱わないと請け合ってきました。しかしコミュニティのメンバーは2015年4月に開発業者が秘密裏にユタ州で採掘された石炭を輸出する計画を立てていたことを知りました。NCIO はこの計画に反対するために設立されました。私たちはオークランドバルクおよび大型貨物用ターミナル(OBOT)の建設とそれがもたらす雇用については支持しています。しかし、私たちは石炭輸出がこのプロジェクトを成立させるために必要であるとの開発業者の主張を認めません。また私たちは石炭を取り扱わなければより少ない雇用が創出されるという彼らの主張も認めません。環境正義と気候保護は、オークランド市臨海部の再開発と両立されなければなりません。

NCIOの活動と市議会の戦い

NCIOによるターミナルを石炭のために使うことへの反対は数千人のオークランド市民、無数の地域の労働組合、宗教指導者、医療関係者、コミュニティ組織、市および州の政府関係者、そして国内外の環境正義に関する組織の賛同を得ています。

オークランド市議会は、2016年の公聴会において、石炭粉塵によって隣接するコミュニティの住民が受ける健康被害についての科学的証拠を検討しました。その後、市議会は全会一致で石炭の貯蔵と取り扱いを市の全域で禁じる政令を定めました。私たちは西オークランドにさらにもう一つの新たな汚染源が増えることから我々の地域を保護した市議会を称賛します。

開発業者は訴訟を起こしており、判決はターミナルの今後に強い影響を与えます。一方で、ターミナルのオペレータ予定業者は複数の日本企業と商談を行っています。日本の火力発電会社であるJERAは、国内の石炭火力発電所で利用するために400万トンの石炭の購入保証について協議しています。三井住友銀行(SMBC)は、総額約2億4,000万ドルのターミナル建設費用の融資について協議しています。SMBCの関与は、同社が最近発表した石炭に対する融資を制限する方針に抵触するものです。石炭に関するインフラへのいかなる融資であっても、それは石炭火力発電の今後の運用への融資と同じことです。もしSMBCが石炭ターミナルとしてのオークランドバルクおよび大型貨物用ターミナルへの融資を検討しているのであれば、それは大規模な国際的な抗議に直面するでしょう。

NCIOは今後も、気候ネットワークや他の団体と協力して、カリフォルニア、日本、そして地球上のコミュニティに対する脅威に立ち向かっていきたいと考えています。

キャンペーンについてのより詳細な情報はNoCoalinOakland.infoをご参照下さい。