環境大臣は7月1日、茨城県東海村の常陸那珂火力発電所1号機の新設計画にあたって、環境アセスメントの手続きの第一段階にあたる”環境配慮書”に対して意見書を提出しました。 今回の大臣の意見書では、先のひびき天然ガス火力発電所の新設に対する意見と同様、「東京電力の火力電源入札に関する関係局長級会議取りまとめ」に記載された二酸化炭素排出削減の枠組みが構築されていないことを指摘し、国の二酸化炭素排出削減の目標・計画とも整合が確保されているものと整理するためにも取組みを講じるように求めています。そして、電力業界全体で二酸化炭素排出削減に取り組む枠組が構築されるまでの間は、天然ガス火力を超過する分に相当する純増分について措置を講じる必要があると言及しました。
【局長級とりまとめを踏まえ、意見書で求められた対応】
① エネルギー政策の検討も踏まえた国の地球温暖化対策の計画・目標の策定と併せて、枠組の構築に向けて、発電事業者として可能な限り取り組むこと。また、当該枠組が構築された後は、小売段階が調達する電力を通じて発電段階での低炭素化が確保されるよう、確実に二酸化炭素排出削減に取り組むこと。
② 枠組が構築されるまでの間においては、局長級取りまとめにおける「事業者(入札を行う場合は入札実施者)が自主的取組として天然ガス火力を超過する分に相当する純増分について海外での削減に係る取組を行うなどの環境保全措置を講じること」を運転開始時までに満たすこと。また、当該環境保全措置について、今後の環境影響評価手続期間中に具体化された内容があれば、方法書以降の図書に可能な範囲で記載すること。
このほか、2050年80%削減の長期目標との整合性も確保するために、将来のCCSの導入に向けて所用の検討を行なうことなどが指摘されています。 天然ガス火力の約2倍のCO2を排出する石炭火力発電所は、新設すること自体が問題です。 その上、環境省・経済産業省の局長級のとりまとめを踏まえた対応もとっていないとなれば、どのようにこの事業の正統性が説明できるというのでしょう? 今後、配慮書の次の段階である「方法書」にプロセスを仮に進めるのであれば、事業者はこの大臣の意見をふまえて、厳格にCO2対策をとるべきでしょう。
常陸那珂共同火力発電所1号機建設計画に係る計画段階環境配慮書に対する環境大臣意見の提出について(お知らせ)