東京電力株式会社は、昨年11月、環境影響評価法に基づき、福島復興大型石炭ガス化複合発電設備(IGCC)実証計画の広野と勿来の2ヶ所について「環境影響評価準備書」を公表し、現在WEBサイトで縦覧するとともに1月15日まで意見募集をしている。
この2つの計画は、出力規模が54万kWの大型石炭火力火力発電で、石炭をガス化し、コンバインドサイクル発電方式を採用することで効率を高めるとされ、国が「次世代火力発電」と位置づける商用化として確率していない技術である。
しかし、本準備書によれば、CO2排出原単位は0.652kg-CO2/kWhとされており、これまでの石炭火力発電の平均よりは排出量が少ないながらも、電力業界が目標とする0.37kg-CO2/kWhには全く及ばない。COP21で「パリ協定」が合意され、脱炭素社会を目指す上では、たとえ高効率であっても”石炭”からの排出が将来にわたって固定化される。IGCCは「脱石炭」に向かう欧米では、かつては技術開発されたものの、すでに見限られた技術になっている。今、ここで計画をすすめることは、長期的に見て「福島」のためにもならないだろう。
環境影響評価準備書(東京電力のサイト)
福島復興大型石炭ガス化複合発電設備実証計画(広野)
福島復興大型石炭ガス化複合発電設備実証計画(勿来)