石炭融資反対に転じる欧州復興開発銀行(EBRD)と米国輸出入銀行


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石炭への融資を廃止する動きに大きな進展が見られています。これは、他の国際金融機関が石炭融資に対してより厳格な制度を採用する流れを作る圧力となっています。2013年、各国政府や国際金融機関は次々に方針を打ち出しました。まず6月にオバマ大統領が気候行動計画の中で石炭への融資をやめる方針を発表すると、その後すぐに欧州投資銀行(EIB)と世界銀行が続きました。

12月には、欧州復興開発銀行も石炭融資を制限していくと発表しました。同行は、他の金融機関と同様に「きわめて例外的な状況」においてのみ石炭発電に融資するとしています。その二日後、米国輸出入銀行はガイドラインの改定を発表し、貧困国には柔軟な対応を取るとしつつ、石炭火力発電所はCCS(二酸化炭素隔離貯留)技術を使わなければならないとしました。欧州復興開発銀行も米国輸出入銀行も、石炭発電への融資の分野では世界有数の巨大な機関です。世界資源研究所(WRI)のレポートでは公的国際金融機関の石炭火力発電所への融資額の順位が示され、両行はともに上位に入っています(それぞれ4位と10位)。両行合わせて40億ドル(約4,000億円)もの融資を行っているのです。

数か月前の2013年の5月の段階では、欧州復興開発銀行のエネルギー・天然資源担当責任者のRiccardo Puliti 氏は、石炭融資の見直しはイデオロギー色の強い政策であると警告し、その他の事柄も考慮されるべきであると主張していました。ところがヨーロッパの環境関係団体からの要請によって、今では、少なくとも欧州復興開発銀行といくつかの金融機関においては、その潮流が変化したようです。世界資源研究所(WRI)と天然資源保存協議会(NRDC)によれば、日本の金融機関であるJBIC(国際協力銀行)は石炭融資を行う主要な金融機関です。NRDCの速報によると、2007年から2013年にかけて、JBICは単独で119億ドル(約1兆1,900億円)という驚くべき額を投資しています。今回、ヨーロッパ最大規模の銀行の一つである欧州復興開発銀行が方針を変えたことで、日本をはじめとする石炭融資を継続する国々がこの流れに乗ることへの期待がつながったと言えるでしょう。

関係リンク:

欧州復興開発銀行:欧州復興開発銀行のエネルギー戦略と石炭からの転換(英語)、2013年12月10日
http://www.ebrd.com/pages/sector/powerenergy/the-switch-from-coal.shtml

バンクウォッチネットワーク: ヨーロッパの主要な環境関連NGOが、欧州復興開発銀行に石炭への融資をやめるよう求める(英語)、2013年9月30日
http://bankwatch.org/news-media/for-journalists/press-releases/leading-green-ngos-europe-tell-ebrd-step-out-coal

米国輸出入銀行:輸出入銀行理事会、温室効果ガス削減のための環境ガイドライン改訂(英語)、2013年12月12日
http://www.exim.gov/newsandevents/releases/2013/EXPORT-IMPORT-BANK-BOARD-ADOPTS-REVISED-ENVIRONMENTAL-GUIDELINES-TO-REDUCE-GREENHOUSE-GAS-EMISSIONS.cfm

ハフィントンポスト:また一つ、国際融資機関が石炭をやめると約束(英語)、2013年12月13日
http://www.huffingtonpost.com/2013/12/13/export-import-coal_n_4441275.html

写真出典:

欧州復興開発銀行
http://www.ebrd.com/pages/about/alumni/ebrd-alumni-association.shtml