2015年9月25日、アメリカのオバマ大統領と中国の習近平国家主席による米中首脳会談がワシントンで開催され、海外石炭火力発電への公的支援の規制についてコミットメントが表明されました。
米中首脳会談共同声明
米中首脳共同声明によれば、両国は公的資金を活用して世界的な低炭素社会の実現を図ることに合意しました。また、中国政府は「国内外向けの炭素集約型プロジェクトへの公的支援を厳格に管理するとともに、低炭素のための政策及び規制を強化する」ことを表明しました。
「厳格な管理」がどのような規制を意味するかは明らかになっていません。しかし、中国政府が海外の石炭火力発電事業(炭素集約型プロジェクト)への支援の見直しを表明したことは、政治的に大きな一歩と言えます。
石炭火力発電への公的支援規制
現在、経済協力開発機構(OECD)の輸出信用部会では、海外の石炭火力発電への公的支援の規制について激しい交渉が繰り広げられており、アメリカ、イギリス、フランス、ドイツなどが規制強化に賛成する一方で、日本、韓国、オーストラリアは規制導入に反対しています。日本政府からは、「OECDが支援をやめても中国が代わりに融資をする」ということを理由に、気候変動対策としての効果を疑問視する声も出ていました。
しかし、中国が政治的なコミットメントを表明した今、状況は大きく変わり、OECD諸国が規制に乗り出す環境が整ったと言えます。日本の関係者からも孤立化を懸念する声が出ています。世界からは、日本がこのままかたくなな姿勢をとり続けるのではなく、新たな一歩を踏み出すことを期待されています。
出典:
The White House, Office of the Press Secretary
For Immediate Release: U.S.-China Joint Presidential Statement on Climate Change (September 25, 2015) (英語)
Reuters,
China ‘highly polluting project’ decision to spur coal subsidy talks(September 30, 2015)(英語)