オーストラリアの環境団体ネットワークNorthern Inland Council for the Environment (NICE)は、
Whitehaven社と出光興産の石炭採掘に対して豪政府が出した
事業実施許認可の取り消しを求めて裁判を起こしていましたが、
2013年12月20日、「両事業についての許認可のプロセスには問題がない」として訴えが棄却されました。
当然NICEをはじめとする環境団体や住民は納得せず、依然として身を呈した抗議活動を続けています。
3/9には森林の伐採を阻止すべくツリー・シッティングが開始され、
現地の抗議活動を支援する日本のNGO、JATAN(熱帯林行動ネットワーク)がこれらの動きを伝えています。
活動は先住民グループなども含めて広がりを見せ、出光の責任を問う声は日増しに大きくなっています。
加えて責任を問われるのは、出光興産に融資するJBIC、そしてその主管官庁である財務省です。
財務省は「適切な環境配慮、先住民への配慮がされている」との見解を示していますが、
そうであればこうした抗議活動は起こらないはずです。
言うまでもなくJBICと財務省は、この問題を真摯に捉え、対応を考え直すべきでしょう。
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JATANウェブサイト(2014/3/13)
出光ボガブライ鉱山拡張に抗議する樹上アクションが3日目に突入
- 豪州リアード州有林の絶滅危惧種ボックスガム自生地が皆伐の脅威 -
(一部抜粋)
出光は代償用地(オフセット)として用意する対象地の生態系について第三者アセスメントの結果を環境大臣に提出しなければならなかったが、その評価にはボックスガムの検討がなされていないという。
現地の活動家であり生態学者でもあるフィリップ・スパーク氏は、
「オフセット対象地で(伐採予定地と)同等の質と面積の生態系が維持される確証もなしに出光が露天掘りのために絶滅危惧種の森林を破壊するとは驚きだ」と述べている。
リアード州有林にはとりわけ多くの貴重なコウモリが生息している。
その理由は、ボックスガムの老齢樹林がつくる多くの樹洞(じゅどう)と肥沃な土壌にあるという。しかし、出光が用意する名ばかりのオフセットではこうした特質はかなり低減する。
国際協力銀行は2013年5月に出光のボガブライ事業に対し350百万米ドルの融資を決定した。
JBICを所管する財務省はいまのところ、このオフセットについて十分な対策が取られていると判断し見直しの必要を感じていない。
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