オバマ米大統領は、2013年6月に「気候行動計画」を発表し、これから米国が気候変動問題に向けて、真剣に取り組んでいく方針を明確にした。その中で、CO2削減のためには石炭に対する適切な処置が必要だという認識を示した。
新しい方針を発表するオバマ大統領
大統領は、米環境保護庁(EPA)において、国内の新規・既存の石炭火力発電所のCO2排出規制を進めていくという方針を改めて示した。
また、石炭が天然ガスに比べてCO2排出量がはるかに多いことを強調し、石炭から天然ガスへの転換を積極的に進めることを示した。この計画において、天然ガスは解決策ではなく、いずれ再生可能なエネルギーを使用するために石炭の代わりをつとめる中期的なエネルギーであると位置づけられている。
太陽光発電所を視察するオバマ大統領
さらに大統領は、米政府がこれから、2つの例外を除いて、海外への新規の石炭火力発電所の輸出への公共投資をとりやめると発表した。そして、他の国々及び国際開発銀行においてもすみやかに同様の方針をとるよう呼びかけると述べた。例外の一つは石炭を代替するエネルギーが存在しない低開発途上国において、最高効率の石炭技術が利用できる場合、もう一つは、二酸化炭素回収貯留(CCS)を使っている石炭火力発電所の場合だ。
計画の中では、クリーン・コールの研究を積極的に推し進めるとしていることなどの問題も見受けられるが、米国の最大の排出源である発電部門において、最もCO2排出の大きい石炭火力発電への依存を国内で削減していこうという方針は明確だ。
そうした問題意識もなく、ひたすら石炭技術開発によって使い続けることができると楽観的に考えているだけの日本の姿勢と比べてればはるかに問題意識が高いといえる。
米国のこの方針が、世界の民間・公的金融機関の投資方針に影響を与えていくことは間違いない。
大統領の気候変動対策計画
http://www.whitehouse.gov/sites/default/files/image/president27sclimateactionplan.pdf
オバマ大統領のスピーチ
http://www.whitehouse.gov/photos-and-video/video/2013/06/25/president-obama-speaks-climate-change
写真の出典
画像1:ホワイトハウス
画像2:ホワイトハウス