気候ネットワークは4月30日、経済産業省と環境省の両省が発表した「東京電力の火力電源入札に関する関係局長級会議取りまとめ」をうけ、政府の石炭火力発電建設の環境アセスメント基準を見直すべきだとする声明を発表した。
声明では、以下の2点について、現状の石炭火力を推進することへの問題を指摘し、環境アセスの見直しを求めている。
1.天然ガス火力発電並のCO2排出量とすべき
石炭火力発電所は、現時点での最高効率の発電設備でも天然ガス発電の2倍程度のCO2排出になり、地球温暖化へのインパクトは非常に大きい。石炭火力発電の最高効率に合わせるという基準自体が問題である。環境アセスメントでは、天然ガス火力発電の最高効率の性能であることを基準とするべきである。
2.中長期目標との整合性は厳格に図るべき
安倍政権は、中期目標(25%削減)は取り下げ、京都議定書第二約束期間の不参加を表明しており、現時点で日本には削減の枠組みがない。しかし、先進国に求められているのは、より野心的な中期目標(少なくとも25~40%削減)である。
さらに、閣議決定されている長期目標である国内80%削減を達成するためには、今からエネルギーインフラを大きく再生可能エネルギーにシフトしていく必要がある。にもかかわらず、石炭火力発電を新設するアセスを緩和することは、長期目標から大きく逸脱するものである。また、海外クレジットや炭素回収・貯留(CCS)などの将来の革新的な技術など不確定要素が大きい対策に依存して、国内の石炭利用を認めることは不適切である。
●気候ネットワークプレスリリース
http://www.kikonet.org/iken/kokunai/2013-04-30.html