このウェブサイトでご紹介してきたオーストラリア、ボガブライ炭鉱の石炭採掘。
隣接するモールスクリーク炭鉱でも、ボガブライと同様に住民の反対を無視した炭鉱開発が進められています。
事業を行っているのはオーストラリアの石炭会社ホワイトヘブン(Whitehaven)。
しかし権益の10%をJ-POWER、15%を伊藤忠商事が保有し、
さらにここで採掘された石炭は日本に輸出することが計画され、日本と関係の深い事業です。
産出される石炭は、年間3,000万tものCO2を排出することが予想され、しかもこれが30年間も続くと見込まれています。
これは、2014~2020年の間にオーストラリア政府が削減しようとしている量の2倍に匹敵します。
どんなに排出削減の努力を進めても、この炭鉱1つで台無しにしてしまうでしょう。
またこの事業は30億tもの水を汲み上げ、水位を6mも低下させることが懸念されています。
すでに干ばつの影響に苦しんでいる人々の生活を、さらに圧迫する恐れがあるとされています。
他にも、貴重な生態系や先住民であるゴメロイ族の聖地を破壊するなど、
モールスクリーク炭鉱の開発は、多くの問題をはらんでいると言われています。
事業に対しては、地域住民はもちろんのこと、オーストラリア・
日本の両国のNGOから反対の声があがっています。
2013年7月には、地元の環境団体のネットワーク(Northern Inland Council for the Environment)が、政府が出した
モールスクリーク炭鉱の事業実施許可の取り消しを求めて、
裁判を起こしました。
同年12月、訴えは棄却されましたが、2014年1月には、
日豪のNGOなど13団体が連名でJ-POWER、伊藤忠商事に声明 を送り、開発がもたらす悪影響の大きさを訴えており、
依然として抗議活動は止みません。
住民の声を聞くこと。それは事業者が最初に行うべきことのはず。
J-POWER、伊藤忠商事は、長く続く反対の声を重く受け止めるべきではないでしょうか。
*Greenpeace Australiaのウェブサイト で、モールスクリーク炭鉱の問題について詳しく紹介しています。
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