イギリスの3大政党の党首(保守党のデイビッドキャメロン首相、労働党のエドミリバンド党首、自由民主党のニッククレッグ副首相)は、気候変動に対処するための共同誓約に署名しました。このことは世界的に賞賛に値するものです。
共同声明は、グリーンアライアンスと他のNGOによって、”バレンタインデー(2月14日)の愛を表明するキャンペーン”の一環として、まとめられました。
その中で党首たちは、「今日の世界が直面している最も深刻な脅威の一つ」として気候変動を認識し、「競争力のある、エネルギー効率が良い低炭素経済への移行を加速し、発電のためのむき出しの(CCS抜きの)石炭の使用を終了する」ことを宣誓しました。
彼らはまた、気温上昇を2℃までに制限するために、公正で、強力な法的拘束力のある地球規模の気候合意を模索し、政党の立場の差を越えて一緒に行動し、気候変動法に基づく炭素収支に同意することも宣誓しました。
誓約は、産業革命の責任を負う発祥国であり、なお発電の約3分の1で未だ石炭を使用している先進経済国として、
むき出しの(CCS抜きの)石炭の使用を終了するという前例のないものとして歓迎されています。
今年5月の英国の総選挙を控えて、その結果が非常に不確かな中で、
違いの大きい三党の間での合意はほとんど難しいと考えられていたので、この誓約はとりわけ重要です。
この誓約は、他の主要先進国では、アメリカ、カナダ、オーストラリアのように
気候変動に対して否定的な右派政治勢力に対して苦心していたり、
日本のように未だに石炭火力発電を推進しているような状況に対し、強いシグナルを送るものです。
このニュースは、世界中のさまざまな政治家、ビジネスリーダーや活動家に歓迎されています。
ユニリーバCEOのポール・ポールマン氏は、「この制約の重要性は誇張しすぎることはない」と述べ、
「他の国が従うべき素晴らしい例」と指摘しています。
一方、シーメンスのユルゲン・マイヤー氏は、「英国は、企業にとって低炭素ビジネスをする
よい場所であり続けるという明確なメッセージだ」と言っています。
また、元アメリカ副大統領アル·ゴアは、「リーダーシップと真の政治的手腕の事例」であり、
世界の気候危機の解決に必要な政治的な勇気の証明とも言っています。
誓約は、法的拘束力はなく、CCS抜きの石炭の使用終了には期限が設定されていませんが、
低炭素経済は、活動家や国民による大きな政治的後押しによって支持されています。
スターンレビューの執筆者であり、経済と気候に関するグローバル委員会の共同議長のニコラス・スターン氏は、
この誓約を注意深く歓迎しつつも、既存の発電所での石炭燃焼を迅速に終わらせるといった、
2030年までに電力部門の脱炭素化させる低炭素経済への移行への大胆な変化が必要だと釘を刺しています。
さて、英国と日本の気候に関する政治は、なぜこれほどに違うのでしょう?
出典:
・グリーンアライアンス:「キャメロン氏、クレッグ氏、ミリバンド氏が共同気候変動協定に署名」
・ガーディアン紙:「キャメロン氏、クレッグ氏、ミリバンド氏が共同気候誓約に署名(2015/2/14)
・ワシントンポスト:「アメリカの政治家が気候変動について議論している間、イギリスの政治家は、議論が終わりになることを決めた」(2015/2/13)
・ニュー・クライメート・エコノミー 記者発表:「ニコラス・スターン氏のイギリス政党の気候変動誓約についてのコメント」(2015/2/14)