2018年4月10日、四国電力が住友商事とともに宮城県仙台市で計画している「(仮称)仙台高松発電所」建設計画から撤退すると発表しました。
(仮称)仙台高松発電所は、仙台市内に11.2万kWの石炭火力発電所を建設する計画で、2017年3月に四国電力と住友商事が計画を発表し、仙台市の条例による環境アセスメントの手続きが進められていました。電力自由化により、従来の管轄地域を超えた場所での発電および売電事業への参入を狙っていたものです。
仙台市内では、すでに関西電力と伊藤忠を親会社とする石炭火力発電所「仙台パワーステーション(11.2万kW)」が運転を開始していますが、こちらは124名が原告となって操業差し止めを求めた訴訟問題が起きています。
(仮)仙台高松発電所計画でも、仙台パワーステーションと同様にCO2の大量排出に加え、大気汚染物質排出に伴う健康被害や周辺の生態系への影響が懸念されているため、計画発表時から批判の声があげられていました。仙台市の環境アセスメントの中では異例の400件に迫る意見が寄せられたことからも、関心の高さが見えます。
仙台市は2017年12月に市内における新たな石炭火力発電所建設計画を抑制する方針を発表しています。同計画には遡及して適用されないものの、市の石炭火力発電への否定的な姿勢は、より鮮明になっていました。四国電力は計画撤退の理由を「十分な事業性が見込めないとの判断に至った」としていますが、市民の反対や市の姿勢に加えて、世界中で脱炭素社会を実現するために石炭火力発電からの脱却が進む流れも一定の影響をおよぼしたと思われます。
共同事業者である住友商事は、本計画の検討を続けるとしていますが、石炭火力発電の環境上、社会上、経営上のリスクや問題点に鑑みれば住友商事は速やかに撤退を決断し、計画自体を中止とするべきです。
また、四国電力は、現在、愛媛県で計画している石炭火力発電所「西条発電所1号機リプレース計画」の環境アセスメント準備書を公開していますが、この計画についても再考し、中止することを強く求めます。