神戸製鋼所内に石炭火力発電所(2基、計130万kW)を増設する計画において、環境アセスメントの手続きに違法性があるにもかかわらず建設を認めた国の責任を問うとして、周辺住民ら12人が計画の確定通知を取り消すように求めた行政訴訟の控訴審が12月14日に結審を迎えました。
この日の期日では、原告弁護団側から、COP26の概要報告がされました。グラスゴー気候協約(Glasgow Climate Pact)において1.5度を目指すことが広く共有されたこと、これからの10年の取り組みが重要であるとの認識に立っていることについて言及がありました。そして、脱炭素に向かう世界情勢の中で、日本だけが石炭火力発電を増やしていることの特異性、それが気候変動に与える影響を考慮すれば、もはや新しい石炭火力発電所を稼働させることは許される状況にないことを指摘しました。また、経産大臣は、環境アセス手続き中であった2013年に出されたIPCC第5次報告書において、残余カーボンバジェットについて既に懸念が示されていたにもかかわらず、本件の新設計画に対して確定通知を出していることが強調されました。
池田弁護団長は、気候変動が深刻化する中にあって、石炭火力発電所を建設することによる「人権」への影響と認識、環境アセス手続きにおける「適正さ」を法の目的に照らして、十分に検討する必要性があると指摘しました。また、いずれの2点についても、行政権の裁量の範囲内ではなく、司法の権限の範囲内にあるはずだと言及。最後に、「裁判所におかれては、日本だけが取り残されることのないように、裁判所の役割である人権擁護と公正な手続きの観点から判断をされるよう、お願いしたい。」と締めくくりました。
判決日は2022年4月26日(火)14:30 大阪高等裁判所大法廷となります。
参考
神戸の石炭火力発電を考える会では、この結審に先立ち、兵庫県環境審議会宛てに「兵庫県地球温暖化対策推進計画」の改定に際して県民参加の場を設け、気候危機に対応した計画策定を求める要請書を提出するなど、脱石炭に向けた活動を継続しています。
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