【ニュース】2024年度のGHG排出量は90年以降最低を記録、減少率は鈍化


2026年4月14日、環境省が「2024年度の国内の温室効果ガス(GHG)排出・吸収量」を、経済産業省が「2024年度エネルギー需給実績(確報)」をそれぞれ公表しました。

GHGの排出量は減少傾向にあるが、削減幅は縮小

環境省の公表によれば、2024年度の国内の温室効果ガス(GHG)排出量は10億4600万トンと、日本が削減目標の基準年とする2013年度からは24.9%減にあたる3億4710万トン減少となりました。国連の条約に基づいて報告を始めた1990年度以降では最も低い値です。ただし、減少幅で見ると2023年度はその前年度比で4%(4,400万トン)縮小していたのに対し、2024年度は前年度比で1.9%(2,030万トン)減にとどまっています。

排出量減少の要因としては、電力のCO2排出原単位(電力消費量当たりのCO2排出量)が改善したことや、製造業の生産量の減少によるエネルギー消費量の減少などが挙げられています。しかし、本来であれば、石炭火力の段階的削減など気候変動対策としてやるべき対応ができていないために、1.5℃目標の水準に届くレベルの減少となっていないことは明らかです。

出典:環境省「2024年度の我が国の温室効果ガス排出量及び吸収量について」

エネルギー消費と供給はともに減少

一方、令和6年度(2024年度)エネルギー統計需給実績(確報)に示されたエネルギー需給実績の需要動向を見ると、2024年度の最終エネルギー消費は前年度比2.0%減。うち石炭が3.9%減、石油が3.8%減となった一方で、都市ガスが3.2%増、電力が0.6%増となっていました。

出典:経済産業省「令和6年度(2024年度)エネルギー需給実績(確報)」

また、一次エネルギー国内供給を見ると前年度比0.5%減。うち化石燃料は1.3%減、非化石燃料は2.5%増となり、化石エネルギー依存度は0.6%ポイント低下しています。とはいえ、化石燃料の内訳を見ると、石油が3.7%減少した一方で、石炭と天然ガス・都市ガスはそれぞれ0.1%、1.2%の増加となっています。経済産業省のリリースには、非化石燃料のシェアが19.9%まで上昇したと記されていますが、主として原子力発電2基*の再稼働によるもので、その増加分(9.6%)は再生可能エネルギー(水力を除く)の増加分(1.8%**)を大きく上回っています。

* 2024年に東北電力の女川原子力発電所2号機と、中国電力の島根原子力発電所2号機が相次ぎ再稼働した。
** この1.8%には、廃棄物発電、再生油、廃熱利用などの「未活用」の増加分0.6%も含まれている。

出典:経済産業省「令和6年度(2024年度)エネルギー需給実績(確報)」

今年の確報データが示すのは、日本のGHG排出量の減少が、主にエネルギー需要の低迷と原発再稼働によるもので、構造的な脱炭素の進展は限定的だということです。減少率も鈍化しており、このままでは2030年目標の達成は困難となる可能性も高いでしょう。需要減に依存した排出削減は経済停滞によるものであり、経済発展に転じれば需要増、ひいては排出増になる可能性があります。と同時に原発回帰は再エネ拡大の制約にもなりえます。その結果、脱炭素の遅れは将来の削減コスト増大や国際競争力の低下を招き、日本経済にとっても大きなリスクになるのです。

関連情報

環境省:2024年度の我が国の温室効果ガス排出量及び吸収量について
経済産業省:令和6年度(2024年度)エネルギー需給実績(確報)を取りまとめました