【ニュース】電源開発、2028年度末までに高砂火力2基の廃止時期を公表


2025年10月31日、電源開発株式会社(J-POWER)は兵庫県高砂市にある高砂火力発電所の1号機・2号機(各25万kW)を2028年度末までに廃止する方針を発表しました。この発電所は1968年・1969年に運転を開始し、亜臨界圧方式(Sub-C)で発電効率は38%以下とされ、CO₂排出量が多い非効率石炭火力発電です。なお、2018年には各60万kWの新設備に建て替える(リプレース)計画があり、市民が反対の声を上げていましたが、「関西エリアでは電力需要の減少が見込まれるため、当初の事業目的であった供給力増強の意義が損なわれる」として、中止された経緯があります。

J-POWERは「BLUE MISSION 2050」に基づき「2030年までにCO₂排出量を2013年度比46%削減(2630万トン以下)」を目指すことと、2024〜2026年の中期経営計画では「国内火力トランジションの方向性」として、非効率石炭火力のフェードアウトの目標を掲げており、今回の廃止はその方針に従ったものです。

J-POWERが国内に保有する石炭火力の設備容量は約9224MWであり、今回廃止が確定した高砂火力1・2号機は全体のごくわずかに過ぎず、GENESIS松島計画をはじめ、残る設備の多くは「ガス化設備の敷設」、「アンモニア混焼」や「CCS」などの技術導入によって延命される可能性があります。
J-POWERの「トランジション」策は、1.5℃目標に整合する脱炭素とは言えず、2030年までに国内の石炭火力を全廃する明確なロードマップが不可欠です。

参考

J-POWERプレスリリース(2025年10月31日)「高砂火力発電所の廃止方針について~カーボンニュートラル実現に向けた非効率石炭火力発電所の廃止~」
J-POWERプレスリリース(2018年4月27日)高砂火力発電所新1・2号機設備更新計画の断念について

JBC【ニュース J-POWERの石炭火力廃止計画は2030年に間に合うか