ドイツでは、ロシアによるウクライナ侵攻に伴うエネルギー危機対応のため、一部の石炭火力発電所を一時的に延長・再稼働させていました。しかし、2024年4月1日、ロベルト・ハベック(Robert Habeck)経済相は、German Press Agency(dpa)に15基の閉鎖を発表し、各紙がこのニュースを取り上げました。同氏は記者団に対し、石炭火力発電所は(目標実現に)「必要ないだけでなく、経済的でもない」と述べた上で、「過去2年間、予防措置として送電網に残っていたいくつかの石炭火力発電所は、今や不要となり、永久に送電網から外すことができる」と付け加えています。さらに、ドイツ大使館のFacebookには、ドイツは以前よりも安全で独立したエネルギー供給を行っており、電気とガスの価格が大幅に下落し、再生可能エネルギーの拡大は、現在、電力の大半がクリーンで気候変動に優しいエネルギー源から供給されているという事実に貢献しているとも投稿されています。
今回閉鎖された石炭火力15基については、3月31日(日)に7基(合計設備容量 約310万kW)がレーニンの鉱山地帯とブランデンブルクの送電網から切り離され、翌4月1日(月)にさらに8基(合計130万kW)が停止されたと報じられています。
さらに、ドイツの大手エネルギー会社RWEも、2030年までにエネルギー生産から化石燃料を段階的に廃止するため、4月末までにレーニッシュ褐炭鉱区の石炭火力発電所5基を永久閉鎖にすると発表しています。同社は、2020年末以降、合計出力420万kWの褐炭火力発電所12基を廃止しており、石炭火力のフェーズアウトを進めています。
石炭火力は、依然としてドイツの電源構成において一定の割合を占めていますが、その割合は、2022年の33.2%から、2023年には26.1%に大幅に減少している一方、再エネの割合は2023年に50%を超えており、再エネが主要電源となっていることは明らかです。
ドイツは、2030年までに石炭火力発電所を全廃することを目指し、着々と歩みを進めています。