横須賀

神奈川県横須賀市では、2023年、日本最大規模の火力発電事業者JERAの石炭火力発電所(65万kW2基、計130万kW)が稼働しました。2016年に計画が浮上したことで、地元横須賀の住民を中心に「横須賀火力発電所建設問題を考える会」が発足、計画に対して疑問を呈し活動を続けてきました。しかし、横須賀火力発電所は、年間726万トンものCO2を排出するほか、大気汚染物質や温排水の影響など様々な問題がクリアにならないまま建設が進められました。

東京湾岸では、2013年以降に市原、千葉、袖ケ浦で大型石炭火力発電所の建設計画が浮上していました。それぞれの地域で地域住民たちによる反対運動がスタートし、2017年には千葉側の3地域に横須賀の「横須賀火力発電所建設を考える会」を加えた4つの地域住民や環境NGOが連携して「石炭火力を考える東京湾の会」を発足しました。

その後、地域住民たちの活動の成果もあって、市原、千葉、袖ケ浦の石炭火力の計画は中止となりましたが、横須賀の計画だけが残り、2019年8月1日に本格工事が着工、2023年6月に1号機が、同12月に2号機が運転を開始しました。横須賀火力発電所が運転開始となってからも、横須賀市民と千葉県側で石炭火力の反対運動を展開してきた人たちは共に火力発電所に反対する行動を続けてきました。

そして2025年2月16日、「横須賀火力発電所建設を考える会」は「エネルギー問題を考える横須賀の会」と名称を変更し、新たなスタートを切りました。持続可能な未来をめざし、石炭火力発電所など化石燃料エネルギーから脱却し、再生可能エネルギー100%の社会の実現に向けて、横須賀から活動の輪を広げていきます。

横須賀市民が中心となって48名が原告となり、事業の環境アセスメントの手続きで確定通知を出した国(経済産業省)に対して裁判を起こしました。原告には、横須賀の海で生業を営む漁師の方なども参加しており、横須賀の海の気温上昇で海藻や魚貝類が激減し、気候変動による大きな被害がすでに出ている実態なども報告されています。

「石炭火力を考える東京湾の会」のYouTubeチャンネルには、原告弁護団の小島弁護士が横須賀訴訟を解説する動画を掲載しています。横須賀訴訟が東京地方裁判所の判決を受け、最高裁判所に上告するまでの過程をわかりやすく振り返る動画となっていますので、ご参照ください。
『弁護士 小島延夫の5分でわかる横須賀石炭火力訴訟』(全8本)(横須賀石炭訴訟ページへのリンク