兵庫県内では、2013年以降に神戸の計画を含め、赤穂市、高砂市において、石炭火力発電所の改造、建て替え計画が浮上していました。いずれも住民から反対の声があがり、中止となり、神戸市における建設計画は、県内に残った最後の計画です。
株式会社神戸製鋼所は、神戸市において2002年に70万kW×2基(計140万kW)の石炭火力発電所による電力事業を開始しました。さらに2014年、神戸製鋼所は、神戸市における電力事業の拡大を発表し、65万kW×2基(計120万kW)の石炭火力発電所の建設が進んでいます。
2017年、公害患者会、地元環境団体、環境NGO、研究者が連携して「神戸の石炭火力発電を考える会」が組織されました。日本で初めて、発電所の建設計画撤回などを求める、大規模な公害調停を兵庫県へ申請し、建設計画に反対してきました。
事業者らは公害調停の協議中、2018年8月に建設工事に着手しました。これを受けて、2018年9月、神戸市民を中心とする40人が原告となり、建設を進める神戸製鋼所及びその子会社、さらに、売電先である関西電力を相手として、建設・稼働の差止めを求める民事訴訟を提起しました。また、建設計画の環境アセスメント手続きで、確定通知を出した国(経済産業省)に対して12人が原告となり、行政訴訟を提起しました。現在、2つの裁判が進んでいます。