仙台市、石炭火力発電所新規計画NOへ ~さらに進んで既存・計画中の施設の撤回を!~


仙台市は、2017年10月16日に開かれた仙台市環境影響評価審査会で、「石炭火力発電所の立地抑制に向けた取り組みについて」という資料を提示し、今後あらたに計画される石炭火力発電所計画に対して、自粛を強く求めていくとする基本的な考え方を明らかにしました。このような方針は事例がなく、全国で初めて石炭火力発電に対する「NO」の姿勢を打ち出したものと言えます。今後は環境影響評価審査会や市議会で検討し、早期策定を目指すとしています。

仙台港(仙台市)には現在、関西電力と伊藤忠商事を親会社とする「仙台パワーステーション(以下、仙台PS)」がこの10月に営業運転を開始しており、さらに、四国電力と住友商事を親会社とする「仙台高松発電所(仮)」の計画が進められています。

これらの2つの石炭火力発電所に対して、市民グループは大気汚染物質による健康被害、生態系や気候変動への影響から反対しており、事業者や行政、議員に継続的に交渉するとともに、学習会などを行なって市民に問題を広める取り組みを行なってきました。特に仙台PSは、国の環境アセスメントの対象規模以下であり、計画当時は仙台市の環境アセスメントの対象外であったことから、環境アセスメントが行われないまま稼働に至っています。市民は、事業による環境影響の情報があきらかにならないことに不信感を募らせ、営業開始直前の9月27日に、近隣住民を始めとする124名が原告になって仙台PSを提訴しています。これは、単独の石炭火力発電所に対する操業差止訴訟として日本初のものとみられます。

さらに、仙台市に隣接する三市町でも反対の声が高まってきており、9月末に市民グループ「石炭火力発電を考える多賀城・七ヶ浜・塩釜の会」が結成され、その結成総会には180名もの人が集まりました

今回の仙台市の対応にはこのような市民の動きが大きく影響しており、仙台市長は、市民の心配の声が新設抑制策の検討指示に至ったと述べています。市民の動きが行政を動かしたものと言えるでしょう。

仙台市の方針は歓迎するべきものですが、あくまでこれから計画される事案を対象としているため、すでにある仙台PS、仙台高松発電所(仮)を止めるものではありません。世界は、石炭火力発電から脱却しようと動いており、これからあらたな発電所を動かすことは許容されません。仙台市は、さらに一歩を踏み出し、事業者に対して計画撤回を求めていくべきであり、また事業者は、今回の方針を重く受け止め、稼働・建設を中止するべきです。さらに、他の自治体は仙台市に続いて石炭からの脱却の一歩を踏み出していくことが強く求められます。

 

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