中国の気候変動・石炭対策に、また大きな動きです!
中国政府が、1月16日に100カ所以上の石炭火力発電所の計画を保留すると発表したのです!
中国は長年石炭に依存しており、石炭火力の新設計画も多数ありますが、近年、再生可能エネルギーの導入も急成長し、エネルギー転換の動きは目覚ましいものがあります。
今回、石炭火力発電所の建設を保留すると発表した104カ所の中には、中国西部から東部に大型発電所を移行するために建設する予定だった8カ所の超大型石炭火力発電所計画も含まれていますが、多くは石炭資源が豊かな中国北西部の13省*1に予定されていたものです。104カ所の設備容量合計では120ギガワット(GW)と推定されますが、このうち、約半数に当たる47基は既に建設工事が始まっており、その発電設備規模だけでも54GWに上ります。
経済的損失を考えれば建設着工している計画を止めるのは容易ではありません。計画が白紙になることで300億ドルの経済損失が出ると推定されますが、不必要な発電所の建設に資金を投入することの方が大きな経済負担となるとして、今回の決断に至ったようです。
2016年に発表された中国の第13次五カ年計画では、2020年に石炭火力発電を1100GWに抑えるという目標を掲げています。現在、中国の既設発電所による発電設備は920GWですが、計画されている石炭火力発電所の設備容量は1250GW*2と、目標を上回る規模でした。そこで、政府は各省に向けて新規建設許可を出さないように指示を出したり、建設を停止させたりして対策を進めてきた上に今回の追加指示を出すことによって規制を強めているのです。
今回の発表は、2017年1月17日から開催されたダボス会議(世界経済フォーラム年次総会)で発表されました。ダボス会議では気候変動対策も議題に上っており、初参加した習近平国家主席には、経済面だけでなく気候変動対策でも世界のリーダーとして中国の存在をアピールする狙いがあったと思われます。報道によれば、2016年、中国は再生可能エネルギーへ約880億ドルを投じており、今後も増加すると見込まれています。既に、風力や太陽光などの再生可能エネルギーによる発電量の増加により石炭火力発電所の稼働率が低下し、石炭使用量は2013年に減少に転じました。将来1100GWもの石炭火力発電は必要ないとする見方もあり、深刻な大気汚染対策も急務とされる中国では、今後ますます石炭火力発電所の建設に抑制がかかると期待されます。
*1 13省とは、甘粛、四川、遼寧、新疆、陝西、山西、山東、青海、寧夏、河南、広西、広東、内蒙古
*2 Greenpeace ENERGYDESK記載
出所:
ENERGYDESK, China suspends 104 planned coal power plants (2017/1/16)(リンク)
ENERGYDESK, Mapped: The coal power plants China just suspended (207/1/19)(リンク)
関連報道:
英語
The New York Times, China Cancels 103 Coal Plants, Mindful of Smog and Wasted Capacity(リンク)
Bloomberg, Xi at Davos Urges Trump to Stay in ‘Hard Won’ Paris Climate Deal(リンク)
Reuters, In latest move, China halts over 100 coal power projects(リンク)
Reuters, China to cap coal at 55 percent of total power output by 2020: NEA(2016/11/7)(リンク)
日本語
Epoch Times in Japan, 中国、石炭発電104カ所の計画を停止 スモッグと過剰生産に対応か(リンク)